
来田家住宅離れ洋館(斑鳩町)
優れた技術で和洋折衷
斑鳩町出身で、一代で紙問屋を興し成功させた来田甚太郎さんが建てた別荘。紙問屋は戦前、軍事郵便の封筒で大成功し、ポチ袋を考案するなどした。上海や釜山に支店を出すほどだったという。
▲石こうでできた少女のレリーフや石張りの暖炉のある洋間。
床はリノリウムから畳、そしてフローリングと変遷してきた
この住宅は大正3年に完成した。母屋と洋館、茶室、蔵からなり、いずれも当時の職人の優れた技術を残す貴重な建物と評価されている。和洋折衷建築で各部に凝った装飾を見せる洋館である。斑鳩町で唯一の近代洋館として、保存状態の良さ、所有者の理解などから登録有形文化財の申請を行った。
母屋と蔵の間が渡り廊下で結ばれた離れである。1階が和風で2階が洋風という他にはない形式。1階は書院や床がついた客間と次の間の2室で、3面を廊下が取り巻いている。
▲2階四隅に設けられた
角柱上部の天使像
▲トイレのタイルにも美しい装飾が |
▲大きな石灯ろうが配された庭園に面する離れ
1階は和風、2階は洋風の外観を持つ
▲一階和室から見た庭園 |
2階は洋風で、外観は四隅の柱部分にギリシャ建築様式の角柱の形をつけ天使の顔と翼が描かれている。屋根は現在は瓦屋根だが、もとは陸(おか)屋根で屋上で月見などをしたらしい。
1階内部は洋間一部屋。入り口の扉上には装飾が施されている。また、部屋隅に設けられた暖炉は石張りで上部には漆喰(しっくい)の少女像が飾られている。この建物は、第2室戸台風で被害を受けたほか、平成10年9月の台風7号でも被害を受け、床や窓などが修理されている。
登録有形文化財の申請には、同町出身で小学生のころからこの建物を見てきた東京大学生産技術研究所の谷川竜一技術職員らが聞き取り調査などを行い調査報告書を作成した。
|
DATA
|
● 来田家住宅離れ(洋館) ●
斑鳩町五百井
現在住居として使用中のため見学などはできない。
※情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。 |
写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)
|