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やまと建築詩

杉山小児科医院(大和郡山市)◎登録有形文化財

ドイツ住宅手本の洋館

 ドイツの木造建築を手本にした杉山小児科医院の建物は、大正10年ごろに建てられたハーフティンバー様式の洋館。大和郡山城の城下町で、通称本町通は古くからある和風建築が軒を連ねる。その中で独特の外観が異彩を放つ。

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▲三角すいの尖塔(ピナクル)が屋根を引き締め洋館らしさを演出

 この診療所兼住宅は当時の生駒郡医師会長が旧家の一角に建てたもの。会長はドイツで医学を学び、帰国後、ドイツの住宅を模して建築した。西に隣接する住居棟は昭和初期の建築。医院は昭和20年に廃業し、空き家となった時期もあるが、同29年に杉山家の所有となり再び医院としてよみがえり、杉山医院としては現在の杉山武浩さんで2代目。

 ハーフティンバーは木造住宅の様式の一つで、ドイツやイギリスの民家で見られる。日本では昭和初期に住宅建築を中心に流行したといわれている。外観上は柱や梁(はり)、筋違いなど、建物の骨組みとなる構造材を外部に露出させ、その間の壁面を漆喰(しっくい)や石材、レンガなどで埋めているのが特徴。

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▲ハーフティンバー様式の特徴の
構造材が表に現れた外観

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▲建築当初の雰囲気がよく残る診察室

▲外光がよく入る居住棟の階段室

 玄関から入ると内部はホール、受付、薬局、診察室と続き、受付の上に2階がある。診察室の西側は暗室やレントゲン室で、ここは元の手術室。手術室として使っていたころは天井に大きな明かり取りの窓があったという。これらの建物西に隣接して2階建ての住居棟があり、書斎やアトリエなどに使われている。増築部分となる住居棟の階段は明かり取りの細長い窓が特徴。

 構造部分や壁、天井や扉などいずれの部分もよく手入れがなされ、建築当初の面影をよく残している。屋根は昨年葺(ふ)き替えが行われ、屋根頂上部の飾り、ピナクル(尖塔=せんとう)が修復された。姿形が良い、特色ある景観を構成している、その時代の建築様式をよく示しているという理由で昭和57年ごろから保存の話があったという。

 医院として使用していくため、比較的制約のゆるい国の登録有形文化財として昨年、登録された。



DATA

● 杉山小児科医院 ●

大和郡山市本町52

医院として使用中のため見学は外観のみ。ただ、いずれ何らかの方法で公開したいという意向がある。

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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