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やまと建築詩

吉野大峯ケーブル自動車 吉野山駅 (吉野町)

最盛期年間40万人運ぶ

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつ、大峯奥駈(おくがけ)道の金峯山寺などがある吉野町吉野山の玄関口となる近鉄吉野駅。ここから吉野山まで一気の上がれるのが吉野大峯ケーブル自動車のケーブルカー。ケーブルカーといっても軌道のないロープウエーで、現存する日本最古の歴史を誇る、いわば乗り物の世界遺産のようなものだ。

▲機械室の中には駆動用の大きなホイールが並ぶ

 このロープウエーは昭和3年、春の花見客や蔵王堂参拝客の輸送などを目的に、地元吉野町や下市町などの有志が出資し建設。翌4年、日本で2番目のロープウエーとして完成し同年3月12日に開業した。2本のロープに客車がぶら下がり、二本尾ロープで駆動する四線交走式と呼ばれる形式。路線距離349メートル、高低差130メートルを約3分で結んでいる。鉄塔や動力装置、ゴンドラ(客車)など、すべてドイツ製で現存では最古。現在の客車は3代目。昭和41年3月に完成した。

▲山上の通りから階段で下がったところにある木造の駅舎

 最盛期の昭和30年代には年間約40万人を運んだ。最近まで吉野山小学校に通う小学生なども乗ったが、同校も廃校となり乗客は観光客が主体となった。だが今も年間約12万人が利用。近鉄電車の接続に合わせて1時間に4便運行されている。

 駅舎は山ろくが千本口駅、山上が吉野山駅。駅舎は昭和4年の開業当時のもの。駅は鉄筋コンクリート製だが、ここでは基礎部分がコンクリートで、外壁は板張り。壁板が補修のためトタンなどにふき替えられているところもあるが、それ以外は昔のまま。


▲電車の運転席のように2つのレバーが並ぶ運転台

 山上の道路から階段を下ると吉野山駅がある。改札横に係員室、その奥に機械室があり、機械室の2階に運転室が設けられている。運転は手動式で、電車のようにブレーキとコントローラーの二つを扱う。また、電車と同じように終端近くには非常ブレーキのセンサーも取り付けられ安全対策がとられている。機械室にはロープを駆動する大きなホイールが並ぶ。

 各所に昭和初期に各地で盛んだった貨物索道の痕跡が見られる。駅間にある支柱も当時のものなので、現代の技術を使った客車が使えない。人が乗ると大きくゆれる客車は、乗客のバランスが悪いとシーソーのように傾くが、こういう体験ができるのも全国でほとんどないという。これから紅葉が見ごろの時期。ロープウエーに乗って3分間のレトロな旅を楽しんでみてはいかがだろう。



▲昭和4年に開通したロープウエー。
施設は手直しや手入れをされながら丁寧に使われている

DATA

● 吉野大峯ケーブル自動車 吉野山駅 ●

吉野町吉野山344

運転は午前8時20分から午後5時40分まで。1時間に4便運転。

運賃は大人片道350円、往復600円。4歳以上小学6年生までの子どもは片道180円、往復300円。

※機械室の見学は危険なためできない。

【問い合わせ】
同社、電話07463(2)3046へ

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)


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