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万葉車窓

北宇智駅(JR和歌山線)

折り返しの丘陵地を進む

大和朝倉-長谷寺

『 やすみしし わご大君の 朝(あした)には 取り撫(な)で給ひ 夕(ゆふべ)には い寄り立たしし 御執(みと)らしの 梓(あづさ)の弓の 中弭(はず)の 音すなり 朝猟(かり)に 今立たすらし 夕猟に 今立たすらし 御執らしの 梓の弓の 中弭の 音すなり 』

 万葉の時代、五條市の北宇智から市街地にかけての金剛山ろくは、宇智野と呼ばれていた。舒明天皇がこの地で狩猟したときの歌で、天皇が朝には手にとって撫で、夕方には近くによって愛された梓の弓、その中はずの音がする。朝狩りにお立ちになったようだ、夕狩りにお立ちになったようだ、ご愛用の梓弓の音が聞こえるよ、という内容。

 北宇智は、金剛山の東山ろくで丘陵状になっているため、ここを通るJR和歌山線の北宇智駅は近畿ではここだけというスイッチバック方式の駅。スイッチバックは、勾配(こうばい)を避けた平地にプラットホームを設け、本線から折り返して駅構内に進入する構造で、たとえば奈良方面から五條方面に向かう列車は、そのままホームに進入、乗客の乗降を済ませると、いったん、奈良側に設けた引っ込み線にバックし、そこで折り返し再び和歌山方面に向かう。

 今回の撮影地点は北宇智駅の東側。画面中央に並ぶ白い光はホームの明かりで、電車のヘッドライトがこの駅で折り返していることを表している。撮影中に大雨に見舞われ、金剛山がかすんで見える。


●参考図書=米田勝著「万葉を行く」(奈良新聞社刊)、和田嘉寿男著「大和の万葉歌」(奈良新聞出版センター刊)


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)


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