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万葉の景色

朱雀門

夏の夜彩る幻想空間

夏草が茂る平城宮跡で一際目を引く色鮮やかな朱塗りの朱雀門。
その勇壮な姿がライトに浮かび闇夜に映える【奈良市佐紀町】

 日暮れとともに、平城宮跡(奈良市)に建つ朱雀門がライトに浮かび上がり、幻想的な雰囲気になる。東大寺大仏殿や興福寺五重塔、薬師寺東西両塔などの世界遺産群、奈良国立博物館をはじめとした歴史的建造物など11カ所を光で飾る「ライトアッププロムナード」が今年も始まった。「なら・シルクロード博」が奈良公園を主会場に実施された昭和63年から行われている夏の恒例行事。10月末まで続く。

 8月6日から15日まで奈良公園一帯に広がる7会場を中心に夕暮れとともに1万を超えるろうそくに火がともるる「なら燈花会(とうかえ)」も夜を彩るイベント。こちらは今夏で7回目。昼間とは一味違うほのぼのとした夢空間を演出。古代日本の良き面影が今なお残り、どこか懐かしい。昨年は11日間で約70万人が訪れた。

 さて万葉集にはライトアップの舞台の一つ、平城京(平城宮跡)を題材に万葉貴族の晴れ舞台を詠んだ歌や都を慕い現世の無常を嘆く歌などが残る。天平12(740)年、政情不安などを背景に聖武天皇は平城京を捨て、恭仁、難波、紫香楽と転々と都を移した。同17年、平城京に戻ってきたが、すでに宮は廃虚に。そんな様を詠んだ田辺福麻呂の歌は哀愁に満ちている。

 『 立ち変わり 古き都と なりぬれば 道の芝草 長く生ひにけり 』(巻6~1048)

 5年の歳月は思いのほか大きかったようだ。というのも当時は建物などを取り壊し、それを新京造営に充てるのが常であったからなおのことで、撤去された跡地には草が生い茂り荒れ放題。―平成のいま、近鉄奈良駅から大阪方面へ。地下から地上に出て、新大宮駅を出発後つかのま市街地を走ると車窓に飛び込む風景は一転し、視界が広がり平城宮跡を横切る。昨今、草の原を残しつつ発掘、整備が進んでいる。

 代表格が平成10年に復元された朱雀門と美しい水辺を再現した東院庭園だろう。中でも朱雀門は高さ約24mの雄姿と鮮やかな色彩で奈良が都として栄えた時代へのロマンを感じさせてくれる。福麻呂が夜空に映える門を見たとしたらどんな歌を詠むだろうか。2010年、平城遷都1300年という節目の年に完成を目指す第1次大極殿正殿の復元も着々。覆いにすっぽり囲まれ、中の様子は垣間見ることもできないが、昔ながらの工法を用い急ピッチで工事が進められているという。


毛原の里を流れる清涼感漂う笠間川


写真と文 牡丹 賢治


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