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万葉の景色

平成の竹内街道(大坂越え)

古の思い馳せ峠越え

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▲「平成の竹内街道」と呼ばれる南阪奈道路が二上山から押し出されるように、
大阪都心部を目指す。規則正しく並ぶ橋脚が現代アートのように目を引き、
一筋のヘットライトがつややか(大阪府羽曳野市)

 今年もあとわずか、一年を振り返る企画も花盛りだ。“平成の竹内街道”といわれる南阪奈道路が開通したのは3月末。県中南和地域から大阪都心部や関西国際空港へのアクセスが飛躍的に向上した。二上山の北側を抜ける穴虫峠、南側を越える竹内峠など、奈良と大阪を隔てるように立つ双峰を越える大坂越えに沿ったルートを走る。

 雄岳と雌岳が仲良く並ぶ二上山。今なお、遠く「山の辺の道」や「飛鳥」からの眺めは美しく、夕照は際立つ。大和川と石川が合流するあたりのやや南、「近つ飛鳥」と呼ばれる南河内は大阪で万葉の時代を感じる数少ないスポット。山すそまで住宅地として開発が進むが、山肌を覆い尽くすようにブドウ畑が連なり長閑(のど)か。

『 明日香川 もみち葉ながる 葛城の 山の木葉は 今し散るらし 』 作者不詳(巻10-2210)

 この明日香川は明日香村の飛鳥川とは別。二上山の南西麓を源流とする流れで石川へ。古(いにしえ)の昔、渡来人が多く住んでいたといわれる近つ飛鳥。明日香川に流れ下る紅葉を見て、二上山をはじめ葛城の山々を染める木々の散る様を思い描いた。

 近鉄南大阪線上ノ太子駅前を流れる明日香川。欄干を飾る擬宝珠(ぎぼし)が西日に輝く。夕暮れ、東の空は群青から漆黒に変わり、色を失う。二上山から押し出されるように南阪奈道路を走る車のヘッドライトが一筋の帯に。規則正しく並ぶ橋脚も現代アートのようで目を引く。

 交通機関が発達した今、峠越えもあっという間。便利な半面、風情は…。黄や赤に染まった木々が風に舞う。冬の便りに心寄せる余裕を持ち、新年を迎えたい。

▲色づいた葉が舞い、山肌を覆うブドウ畑を縫うように走る南阪奈道路(右上)


写真と文 牡丹 賢治

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