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やまと建築詩

旧川本家(大和郡山市)

洞泉寺遊郭の光と影

 大和郡山市洞泉寺町周辺には木造3階建てや2階建ての遊郭建築が何軒か残っている。そのうちの1軒、川本家住宅を大和郡山市が平成11年に保存活用を目的に買収した。建物は遊郭建築といっても華美な装飾がないのが特徴といえる。

▲2階南側の廊下。階段の向こう側の丸窓から光が入る

 洞泉寺に程近い場所に木造3階建ての建物がある。配置は複雑で、東側道路に面した3階建ての主屋のほか中庭をはさんで西側には総2階建ての副屋を併設。主屋の南と北側に2階建ての繋(つなぎ)屋が設けられ、中庭を「ロ」の字形に取り囲んでいる。また副屋の西に茶室があり、茶室と渡り廊下でつながる2階建ての土蔵が敷地西端に建てられている。

 玄関から主屋に入ってみる。玄関には遊郭当時、内庭があり、壁際の床に池が掘られ魚が泳いでいたという。玄関の向かって右側は管理人室など川本家の居室空間だった。正面は帳場、左側に階段がある。2階へ上がると道路側に3.75畳の客間が4部屋、北側に同2部屋、建物中央部には4.5畳と6畳の客座敷がある。建物中央部にはこの建物を特徴付ける幅約2メートルの大階段があり、さらに3階へ。3階は東側に3.75畳の客間4部屋と4.5畳の客間1部屋が並ぶなど、合計9部屋の客間が設けられている。

 廊下は光が入らず真っ暗だが、東側の客間に入ると細かい格子から光が入り明るい。廊下にはガス灯の器具なども残されているのが珍しい。築約80年にもなるこの建物だが、建てつけなどもしっかりしている。遊郭廃業後はアパートのように部屋を貸していたようだが、現在は無人。現状の室内を見ると大正や昭和の時代に戻ったかのような印象を受ける。同市の今後の活用に期待したい。

▲細かな格子から光の入る3階客間

▲木造3階建ての大きな建物。
各階に設けられた細かな格子が遊郭建築を表す

▲2階と3階をつなぐ大階段もかなり大きい

▲大正時代に使われたであろうガス灯が廊下に残る

客間

▲3階廊下から客間を見る。客間には簡素な床も



DATA

● 旧川本家 ●

大和郡山市洞泉寺町10

平成11年に大和郡山市が買収
現在、利用方法などを検討中

見学は個人は不可で、団体に限り大和郡山市産業環境部商工観光課に相談。

【問い合わせ】
電話 :0743-53-1151(代)

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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