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万葉車窓

飛鳥―岡寺(近鉄吉野線)

雲間から明日香に注ぐ光


 『 夢(いめ)にだに 見ざりしものを おほほしく 宮出もするか さ檜(ひ)の隈(くま)みを』

 近鉄吉野線は明日香村西部の越や真弓の集落の脇を通るが、車窓からは石舞台や高松塚古墳など飛鳥らしい風景はほとんど望めない。万葉集といえば飛鳥。飛鳥を撮る時は高いところから俯瞰(ふかん)で望みたいと、探していたら見つかったのがこの場所。

 石舞台古墳や檜前(ひのくま)の辺りも見渡せる撮影地点の近くには岩屋山古墳や牽牛子(けんごし)塚古墳、欽明天皇陵など古墳が多い。広い視界で見渡すと万葉の飛鳥の風景が広がって見える。撮影に訪れたこの日、時折小雨も混じる天気だったが夕方、黒い雲の間から夕日が黄色い光を照らした。

 冒頭の歌は「夢にさえ思わなかったのに心もはれやらず。殯宮(もがりのみや)に参上するのか、桧の隈の道を通って」と689年、即位を目前に28歳で夭逝(ようせい)した草壁皇子を悼(いた)んで作られた23首の中の一首。葬送は皇子の宮居、島宮(しまのみや)から皇子の父・天武陵を経て桧隈を横断し真弓丘の殯宮に向かったという。

 『 朝日照る 佐田の岡辺に 群れ居(ゐ)つつ わが泣く涙 やむ時もなし 』

●参考図書=米田勝著「万葉を行く」(奈良新聞社刊)、和田嘉寿男著「大和の万葉歌」(奈良新聞出版センター刊)

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)


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