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万葉の景色

黒髪山

母と娘、並んで眠る丘

黒髪山

▲小雨降りしきる黒髪山。奈良市中心からさほど遠くないが、
しっとりとした趣が漂う(奈良市奈良阪町)

 黒髪山を知っていますか? 「知っています」と答えた人はよほどの万葉マニア…。奈良市法蓮町の北、佐保丘陵(奈良山)の後方に連なる丘のような山が黒髪山らしい。でも、どこが頂上なのやら…。

『 ぬばたまの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ 』  作者不詳(巻11-2456)

 黒髪山に雨が降りしきるように、私も彼女のことが気になってしかたがない。もちろん、早く会いたい、との思いだろう。地図を頼りに雨の日に現場を訪れた。幹線道路から少し入っただけだが、無造作に雑木林が続き、あたり一帯だけ、開発から取り残された感が否めない。

 元明、元正女帝母子の御陵が県道を挟み、黒髪山のふもとにある。正式には元明天皇佐保山東陵、元正天皇佐保山西陵といい宮内庁が管理。わが子、文武天皇の死後、やむなく天皇位に就いた、と言われる悲劇の女帝・元明天皇。そして、霊亀元(715)年、跡を継ぎ長女の氷高皇女(のちの元正天皇)が、わが国初の独身の女帝に。

 万葉集に元正女帝を詠んだ歌は四首あるが、いずれも聖武天皇に譲位したのちのもの。舎人親王と唱和した歌もある。舎人親王は、天武天皇の第3皇子で女帝の叔父にあたり、政権をサポートしたという。女帝は退位後、69歳で生涯を閉じたが元正天皇陵は、母・元明天皇陵と数100メートル隔てて仲良くたたずむ。師走。世間が慌ただしい中、霧に煙る丘陵を目の当たりに政治談議にでも花を咲かせているかも。

元明天皇佐保山東陵

▲元明天皇佐保山東陵1

元明天皇佐保山東陵

▲元明天皇佐保山東陵2


写真と文 牡丹 賢治

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