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万葉の景色

檜隈

黄金と朱の初秋

明日香村檜前

▲風に揺れる彼岸花と黄金に染まる田。
心癒やされる初秋の里風景の後方には檜隈の杜も(明日香村檜前)

 近鉄吉野線飛鳥駅から南東へ、徒歩20数分。青竜、白虎、玄武、さらに朱雀を描いた壁画が見つかったキトラ古墳の近くに檜隈の集落がひっそりたたずむ。渡来人東漢(あずまのあや)氏の本拠地であり、祖神・阿知使主(あちのおみ)を祭った於美阿志(おみあし)神社の境内には平安時代に造られたといわれる十三重の石塔(重文)がぽつんと建っている。檜隈寺跡ともいわれ、礎石も残るが、観光ルートとはやや離れており訪れる人は少ない。

 『 さ檜の隈 檜の隈川に 馬とどめ 馬に水飲ヘ われ外に見む 』
  作者不詳(巻12-3097)

 夜明け前、男をそっと送り出す女ごころを巧みに表現。檜隈川でゆっくり馬に水を与えてくださいネ。その間も、そっと物陰からあなたを見ています。万葉の時代、男と女の関係は通い夫(つま)であり、妻問い婚であったことを考えると、ごく一般的な光景かも。二人で過ごせる時間は限られているだけに、熱い思いが一気に…。

 『 さ檜の隈 檜の隈川の 瀬を早み 君が手取らば よらむ言かも 』
  作者不詳(巻7-1109)

 川の流れは速く、もしあなたの手を取れば人々は私たちのことをうわさするだろか。実際にはそんな急流ではなかったろうに、純情な乙女心がほのぼのと伝わる。こちらも恋歌だ。さて、取材当日、時おり強い風が吹き、畔に今が盛りと咲き誇る彼岸花が川の流れのごとく揺れ動いた。彼岸花を詠んだ万葉歌もあり、当時の人々も同じような光景を目の当たりにしたのだろうか。黄金に染まる田と畔を彩る彼岸花。典型的な初秋の風景に心癒される。

於美阿志神社

▲檜隈寺跡の礎石や十三重塔も残る於美阿志神社


写真と文 牡丹 賢治

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