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万葉車窓

河内堅上駅(JR関西線)

古道の面影にサクラ咲く

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 『 白雲の 竜田の山の 滝(たぎ)の上の 小梠(おぐら)の嶺に 咲きををる
桜の花は 山高み 風し止まねば
春雨の 継ぎてし降れば 秀(ほ)つ枝(え)は 散り過ぎにけり
下枝(しづえ)に 残れる 花は しましくは 散りな乱れそ 草枕
旅行く君が 還(かへ)り来るまで 』

 奈良時代、奈良から大阪(難波)への道は生駒越えか、比較的平坦(たん)な竜田越えのルートがあった。竜田越えは一般的には竜田大社前から峠八幡、現在の大阪府柏原市の雁多尾畑(かりんどばた)へ出るルートで春はツツジやサクラ、秋は紅葉と美しい場所だったらしい。

 竜田越えにはいくつかのルートがあり、大和川の北岸を行くコースは「竜田越え南路」とも呼ばれ地すべり地帯として知られる亀の瀬を越える道だった。冒頭の歌はこのコースをたどった時に詠まれた歌と思われている。

 JR関西線(大和路線)は竜田越え南路と似たルートをたどっている。現在の関西線は三郷駅を出ると大きく左にカーブしながら大和川を渡り亀の瀬の対岸を通って再び大和川を渡り河内堅上駅に至る。このルートは昭和7年にできた。地すべりにより亀の瀬越えルートが廃止され、急きょ対岸にう回する新線を設けた。河内堅上駅寄りの旧線跡には家が並び当時のルートをうかがうことができる。

 万葉集にも詠まれた竜田越えのサクラ。河内堅上駅のサクラの古木が万葉の昔をほうふつさせる。大きな枝ぶりの12本のサクラはJR西日本広報室によると「いつ植えられたか不明。駅の開業は昭和2年4月19日で、これを記念して植えられたものかもしれない」という。地すべりや万葉の時代の古道など一瞬で通り過ぎる風景の中にも多くのドラマがあるものだ。


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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