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万葉の景色

平城宮跡

光の中に往時の栄華

▲黎明のころ、東の空に赤みが帯び
朱雀門がシルエットに浮かぶ

 『 天飛ぶや 雁の翼の 覆ひ羽の いづく漏りてか 霜の降りけむ 』
作者不詳(巻10-2238)

 雁(かり)がまるで空を覆うように飛んでいたが、いったい空を覆った羽のどこから霜が降ってきたのだろうか。何とも奇抜な発相だ。地面一面に降りた霜と空を覆う雁。壮大な二つの景観に驚き、心のままに詠んだものならうなずける。大自然は神秘的な魅力がある。所々に残る荒地に溜まった水が凍てつき、朝日に輝く。平城宮跡を貫く近鉄電車の始発が通過、やがて大勢の乗客であふれる通勤・通学のラッシュ、分刻みで列車が走る。

  さて、1キロ四方に広がる平城宮跡の発掘調査は長い歴史から見れば始まったばかり。四方八方が見渡される。人は都に集まる。都が遷(うつ)れば人も去る。古今を問わず変わらない現実だろうが、古代は顕著だったようだ。日に日にさびれる姿を詠んだ句がある。


 『 立ちかはり 古き都と なりぬれば 道の芝草 長く生ひにけり 』
田辺福麿歌集(巻6-1048)


 現在、広大な原っぱの中にかつての栄華をとどめるばかり。唐の長安をモデルにして造ったといわれる平城京は周りに高い土塀と堀をめぐらし、大路を碁盤の目のように整然と区画した中に大極殿や内裏、朝堂院、東院、官庁街などが配置されていた。すべて土に埋まり、本格的な調査は戦後の昭和28年からで、今も続く。平城遷都1300年にあたる2010年の完成を目指し、第一次大極殿院の復原事業も予定されている。

▲日が昇り、薄氷が張った原っぱがキラリと輝く。
かつての都の面影はその広さに象徴されている
(奈良市の平城宮跡)


写真と文 牡丹 賢治

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