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万葉の景色

藤の花

風になびく気品と花房

春日若宮の八ツ藤

▲高木をよじ登り、無数の花が開花。
高貴な気品が漂い、緑に映える「春日若宮の八ツ藤」
(奈良市春日野町の春日大社)(4月下旬に撮影)

『 藤波の 花は盛りに なりにけり 奈良の都を 思ほすや君 』
大伴四綱(巻3-330)

 地方勤務。太宰府の藤(ふじ)を眺め、奈良でも今ごろ藤があちらこちらで咲いているのだろうなぁと、都を思う。

 房長く咲くフジの花が風になびくさまを当地の海辺の波に見立てた、という解釈もあるようだが、いずれにせよ切なく、望郷の念にかられる。

 ちなみに四綱は防人の次官にあたる「佐(すけ)」。隊員の編成や武器・食糧などの管理をしていた。

 マメ科の落葉樹で、山野に広く自生している藤。藤原氏の氏神を祭る春日大社(奈良市春日野町)周辺では、今なお見事な藤波を見ることかできる。

 高木をよじ登り4月下旬から5月にかけ、高いこずえから長さ1メートル以上にもなる花穂がいくつもぶら下がり、無数の花が付け根から下に向かって咲き進む。

 大社本殿前の「砂ずりの藤」も見逃せない。

 樹齢700年以上の古木で、藤棚から長い房が垂れ下がり、滝のよう。朱塗りの社殿や釣り灯ろうを背に淡紫色の花が映える。

 鑑賞用としても栽培され、神苑には20種類200本がシーズン中、次々と咲き艶(つや)やか。

 藤に限らず、花のきれいな期間はほんの一時。語り尽くされた言葉だが、ゆえに美しい。風になびく藤の花は、ひと房手折ってかざしたくなるほど美しく、気品が漂う。

砂ずりの藤

▲釣り灯ろうを背に淡紫色の花が映える
「砂ずりの藤」


写真と文 牡丹 賢治

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