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やまと建築詩

稲戸屋 芳村酒造(大宇陀町)

伝統の様式伝える商家

 海抜330メートルに位置する大宇陀町は、江戸時代には織田家松山藩の城下町。南北に通じる街道沿いに「町家」が栄えてきた。その中心部、旧松山町は長い歴史の流れのなか、発展してきた歴史をその建築様式からもうかがい知ることができる。江戸、明治、大正、昭和と各時代の建物が同居しているのがこの町の特徴ともいえるだろう。

稲戸屋芳村酒造

▲旧松山町の街道に面する稲戸屋芳村酒造。
黒漆喰の壁が夕やみに溶け込む

 稲戸屋芳村酒造は明治5年から清酒造りを行っている。現在、同社会長の芳村壽郎さん(76)で4代目となる。芳村さんによると、酒造業の前は、たね油しぼりを行っていたという。黒漆喰(しっくい)の重厚な造りの商家は昭和16年に建てられた。だが、奈良地方の古い町屋の特徴を残す台格子や「うだつ」、黒漆喰、前栽(せんざい)や部屋の間取りなど伝統的な建築の要素を持った建物だ。

 主屋の間取りは変形多室型。入り口を入って右側はミセの間。その奥は凝った造りの洋室。中庭に面して床の付いた座敷となっている。座敷には道路に面した坪庭から入ることもできる。主屋裏の中庭を囲むように建物が並び、主屋の反対側には客間として使われる離れがある。

酒蔵

▲大正初期の建築といわれる酒蔵は
板壁と白漆喰のコントラストが美しい

 「千代の松」「稲戸屋」「かぎろひ」などの銘柄で知られる清酒は主屋の隣の酒蔵で造られる。酒蔵は3つの建物で構成され、工場は昭和27年に建てられた鉄筋コンクリート2階建て。当時としてはまだ珍しい鉄筋コンクリートの建物は太い梁(はり)や鉄製の窓枠などが特徴。ほかの二つの酒蔵は木造で建築年代も大正時代初期と古い。倉庫などは街道を挟んだ反対側にもあり大規模な商家といえる。

工場

▲太い梁と鉄製の窓枠が特徴の鉄筋コンクリート
でできた工場は昭和27年の建築

DATA

● 稲戸屋 芳村酒造 ●

大宇陀町大字万六1797

純米大吟醸「稲戸屋」をはじめ「かぎろひ」「千代の松」などの銘柄の清酒が生み出される酒蔵は、個人やグループでの見学が可能で事前に電話で相談。

【問い合わせ】
同社、電話:0745-83-2231

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真と文 本紙・藤井博信(日本写真家協会会員)

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