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やまと建築詩

旧木村家住宅(大和郡山市) ◎県指定文化財

山間の暮らしを伝える

 県北部では見かけない形状や間取りのこの民家は、もとは十津川村大字旭にあったもの。

 この地は山深い峡谷の地で、奥吉野方面の家は山の傾斜地にへばり付くように建てられているものが多い。同家は、農林業を営んだ家で幕末ごろには村役を務めたと伝えられている。

 この家は棟札から文政4(1821)年に主屋が建てられたことが分かっている。主屋の増築をへて、納屋や表門が19世紀中ごろに建てられるなど、生活の変化と屋敷構えの拡充の過程が分かる貴重な建物として大切に保存されている。

旧木村家住宅

▲板張りの吉野・十津川方面特有の形状の旧木村家住宅

 実際に建物を見てみよう。外観でまず目につくのは屋根だろう。杉皮で葺(ふ)き石を乗せ、妻側の端にはウチオロシと呼ばれる雨よけが付く。県北部の一般的な民家では、屋根が瓦(かわら)か草葺きで、室内には居室に土間がつき、壁には土壁を多用している。この旧木村家など十津川地方の家では、土間と土壁がなく壁はすべて板張り。間取りも3室の横一列型となっている。

ダイドコ

▲「ダイドコ」から客間の「デエ」を通して見る景色。
室内は黒っぽい板に囲まれ外の光がまぶしい

 主屋に入ってみる。一般的な玄関は存在せず、一段低い板葺きの「ドマ」とよばれる所から入る。その奥は「ダイドコ」。ここも板葺きで「カマド」はなく「ユルリ」(囲炉裏)で炊事が行われていた。主屋の建物内には水まわりはなく、調理以外の水仕事は屋外で行われていた、という。

 主屋には畳敷きの「ザシキ」も一部屋設けられ、一角には「トコ」も。また、表門横の納屋は一階が便所や物入れなどでツシを広く利用した2階もある。旧木村家は、このように山間の貴重な土地を有効に利用し、厳しい気候にも対応した建物の様子がよく分かる。そして、吉野・十津川方面の昔の暮らしを伝える数少ない建物といえるだろう。


屋根

▲屋根に乗せた石もこの地方の特徴

DATA

● 県指定文化財 旧木村家住宅 ●

大和郡山市矢田町545県立大和民俗公園内

見学時間は午前9時から午後4時まで。
月曜と年末年始は休館。
見学無料。

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。


写真と文 本紙・藤井博信(日本写真家協会会員)

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