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万葉の景色

佐保川

万葉人の"故郷の川"

鴬の滝

▲水しぶきが涼を運ぶ鴬の滝。酷暑が続く市街地とは別世界、
ひんやりと心地よい(奈良市川上町)

 佐保川を詠んだ歌は飛鳥川の23首に次ぐ、17首もあり、万葉人にとって"故郷の川"であったことが数を見るだけでも容易に想像できる。春日奥山の鴬(うぐいす)谷あたりを源に山を下り、徐々に幅を広げ街中へ。

 春日奥山は春日大社の神域として千年以上も伐採や狩猟が禁じられ、昼なお薄暗い。杉やヒノキなどの大木が自然のままに茂り、夏でもひんやり。山中を横切るドライブウエーは若草山方面からの一方通行。しかも今では珍しい砂利道だ。

 ドライブウエーの中ほど、佐保川の源流にある高さ10メートルほどの「鴬の滝」は酷暑が続く市街地とは別世界、苔(こけ)むした岩陰から涼風が吹き抜ける。太古から人の立ち入らぬ原生林だけに万葉人は滝を愛(め)でたかは疑問だが、流れは途切れることなく脈々と歴史を刻んでいる。

 『 千鳥鳴く 佐保の河門の 清き瀬を 馬うち渡し 何時か通はむ 』
大伴家持(巻4-715)

 千鳥の鳴く佐保川の渡しの清らかな瀬に馬を渡して、あなたのもとへと通えるのはいつになることやら…。恋多き家持、万葉には彼の恋人たちが数多く登場する。この歌は丹波大女娘子に贈った、とか。

 『 うちのぼる 佐保の川原の 青柳は 今は春べと なりにけるかも 』
大伴坂上郎女(巻8-433)

 万葉人きっての才女。家持の叔母に当たる。佐保川沿いの坂の上に邸宅を構えていたといわれ、碑のある船橋町辺りは清流を取り戻そう、と美化運動が活発。ぎらぎら照りつける太陽に誘われ、水遊びを楽しむ子どもの姿も。

佐保川

▲春日奥山を源流に、徐々に川幅を広げ市街地を横ぎる佐保川
(奈良市多門町)


水遊び

▲真夏の太陽に誘われ、水遊びを楽しむ子どもたち(奈良市芝辻町)

写真と文 牡丹 賢治

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