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万葉の景色

葛城古道

「いやしの空間」満喫

老杉

▲鬱蒼と茂る老杉が迎えてくれる高天彦神社。
太古の世界に足を踏みいれたような錯覚を覚える(御所市北窪)

 葛城、金剛山を右手に国道24号を南下。御所の市街地を抜けると、なだらかな上り勾(こう)配が続く。風の森峠で右折、この辺りが「葛城の道」、南の起点だ。最初に高鴨神社を訪れた。鴨一族の氏神で京都の上賀茂、下鴨神社の総社にあたる。日本サクラソウの栽培でも知られ、シーズンには500種2000鉢を超えるサクラソウがヨシズ張りの段飾りに並ぶ。

 県道(通称・山麓=さんろく=線)を横切り、次に高天彦神社を目指した。振り返ると奈良盆地が一望できるが、胸突き八丁の上り坂。アクセルをいっぱい踏み、加速。金剛山中腹に広がる標高400メートルの台地、やがて鬱蒼(うっそう)と茂る老杉の向こうに鳥居が見えた。ここは高天原(たかまがはら)に天孫降臨したという神話の地であるとともに、豪族葛城氏発祥の地。

 集落を離れると一面、田畑が広がる。水が張られ、きらりと輝く田があちこちに。写真掲載のころには田植えも終えていることだろう。橋本院近くには山を背に万葉歌碑がある。

 『 葛城の 高間の草野 早領りて 標刺さましを 今そ悔しき 』
作者不詳(巻7-1337)

 万葉の昔、ここはカヤが自生する草原だったらしい。「標を刺す」とは杭(くい)を打って縄を張ったり、草や木を結んだりして神、または自分の所有であることを示す。高天の里にこんな美しい娘がいたことを、もっと早く知っていれば…。草刈りなどで歌い合ったのだろうか。作者には悪いが、ほほえましい光景が目に浮かんだ。

 鴨氏、葛城氏といった豪族の本拠地で、古社、古跡も多い。山が迫り、里の風景に包まれた同地は太古の世界に足を踏みいれたような錯覚を覚える"いやしの空間"だ。

高鴨神社

▲鴨一族の氏神で京都の上賀茂、下鴨神社の総社・高鴨神社


きらりと輝く田

▲水が張られ、きらりと輝く田。
田植えも間近(5月末、御所市高天)


日本サクラソウ

▲段飾りに並ぶ日本サクラソウ


写真と文 牡丹 賢治

 

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