大山鳴動して、何もなかったということか。衆参両院の予算委員会での前国税庁長官の証人喚問は、「答弁を控える」ばかりで答えないに等しかった。

　あれだけ証人喚問を求めてきたのに、野党の攻めの甘さと、官僚のしたたかさが目についた。「刑事訴追の恐れがある」と証言するのは予想できたことだ。

　並行して中国では、北朝鮮の金正恩氏と習近平総書記とが会談しており、米国、韓国の構図から日本は遅れ気味となった。東アジア情勢も緊迫していることを知らねばなるまい。

　今度の決裁文書改ざん問題で、安倍内閣の支持率は急落し、楽勝とみられた秋の総裁選の行方も黄信号が灯った。政治の世界は、まさに一寸先は闇だ。

　ただ内閣支持率と政党支持率は同じではない。相変わらず野党への国民の支持は今ひとつだ。政権交代可能な勢力を結集できるかどうか。あの民主党政権時代のことはまだ忘れていない。

　あと1年で統一地方選がある。地方議会の立候補予定者は、早くも選挙への準備を始めている。国の失政は地方に直結することを忘れないでほしい。(治)