特集奈良の鹿ニュース

金曜時評

広がれ支え合う心 - 編集委員 辻 恵介

 2月末「県子どもの貧困対策会議」が開かれた。親の就労状況による経済的理由などから、生活環境の充実が必要な子どもたちへの支援を考えるものだ。県施策の指針「経済的困難及び社会生活上の困難を抱える子どもを支援する県計画」(平成28~32年度)に基づいた取り組みの現況や「こども食堂」への支援などについて論議された。

 「こども食堂」は、子どもに無料、または安価で食事を提供する取り組みだが、県内では昨年8月26日に34団体が参加して「奈良こども食堂ネットワーク」が設立された。資金不足と食材調達が共通の悩みだったが、現在では35団体に。団体関係者の頑張りや、各方面からの支援で支え合っているというところだろうか。

 最近の報道では、河合町の「こども食堂かわい」の活動が紹介(2月1日付3面)。月1回、「おさんぽキッチン」として公民館で開催。調理には地域の民生委員らも加わり、野菜は地元農家からの提供だという。また、奈良市大宮町4丁目の「おんどく 朝ごはん」には、奈良西ライオンズクラブから、クリスマスの慈善オークションの収益金が贈られた(2月20日付11面)。

 一方、困難な状況にある人たちへの効果的な支援として、「フードバンク奈良」が1月27日に発足した。まだ賞味期限が残っている食料品が捨てられる無駄「フードロス」を減らし、そうした食料品を一般から寄付してもらい、利活用するという取り組みだ。資源の有効活用と共に、かつての日本人の多くが意識として持ち合わせていた「もったいない」という感覚を、今一度呼びさますには、いいタイミングかもしれない。弁当のふたの裏に付いたご飯粒が、いまだに気になる者として、食べ物を大事にし、感謝する習慣を子どもたちに伝えていきたいものだ。

 冒頭の会議の話に戻ると、こども食堂については「経済・社会的困難を抱える子どもたちだけではなく、高齢者なども含めて誰でも訪れられるような、地域の居場所になるべきでは」といった意見も出たという。

 そうした観点でいえば、県社会福祉法人共同事業運営理事会が2月6日の「地域貢献推進フォーラム」で確認した、加盟88団体が協力しての「地域食堂づくり」も注目される。子どもから高齢者まで利用できる「地域食堂」を目指すという。

 いずれにせよ将来を担う子どもたちが、健やかに成長していけるよう、地域での支援がますます広がることを期待する。

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