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金曜時評

北和に来春新拠点 - 編集委員 辻 恵介

 「新県総合医療センター」が、来年5月1日に開院することが県から発表された(12月8日付3面既報)。現在、奈良市平松1丁目にある県総合医療センターの南西約2キロに位置する、同市七条西町2丁目への移転・建設が進められてきた。

 当初は、今年春の開院を目指していたが、アクセス道路整備の遅れや建築資材・労務単価の高騰などによる工事入札不調などもあり、着工自体が27年5月にずれこんでいた。それだけに関係者の喜びも、ひとしおだろう。

 南和地域では、昨年4月に南奈良総合医療センター(大淀町)と吉野病院(吉野町)の新規開院があった。同年9月には、県立医科大学付属病院(橿原市)の新病棟が完成し、がんや周産期医療が大きく飛躍するなど体制の充実が図られ、今年4月1日には五條病院がリニューアルオープンした。

 過疎が進む広域のエリアにおいて、最先端の医療が提供されているのは、暮らしやすい奈良県をアピールする上でも、また子育て世代など若い人たちの定住を促進していく上でも、大きな魅力となっている。

 一方、来春誕生する「新県総合医療センター」は、北和地域の高度医療拠点病院として救急、周産期、がんなどの分野における高度医療を提供するという。

 そして注目されるのは「断らない救急医療の充実」「ER体制(全てのタイプの救急患者受け入れ)の確立」が掲げられている点だろう。

 10年ほど前に起きた痛ましい、妊婦の“転院拒否事件”の教訓などを踏まえ、「関係する医療スタッフが全力をあげて大切な命を救う」という固い決意を感じる。県民にとって非常に心強い方針といえよう。

 ドクターヘリを受け入れるヘリポートを新設し、救命救急センターの集中治療室(ICU)、高度治療室(HCU)の拡充が図られる。さらには県内の医療を支える人材育成のため、「医療専門職教育研修センター」も併設されるという。

 万一の時への備えは、これらのネットワーク化により充実していくが、より肝心なのは「病気にならない体をつくり、健康寿命を延ばしていく」ことだろう。

 「健康寿命日本一」の目標を掲げる荒井知事は、さまざまな方策を通してがん検診の受診率向上、野菜の摂取・減塩といった、食生活の改善などを呼び掛けている。検査を積極的に受診して、早期発見・早期治療につなげ、元気な体を維持していきたい。

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