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金曜時評


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迅速な復旧に期待 - 編集委員 松井 重宏

2017年11月17日 奈良新聞

 台風21号の接近などによる10月下旬の大雨で、県内は住宅や道路、農地などで総額約162億円に達する被害を受けたことが県の調べで分かった。これは今月6日時点の取りまとめより約30億円増えており、時間の経過とともに精査が進み、甚大な被害の全体像が明らかになってきている。ただ県の集計に民家の被害額などは含まれておらず、実態はさらに深刻だ。

 一方、被害の発生当初から数日間は市町村などによる状況の把握、対応に遅れも指摘され、一部地域で被災住民の間に不満の声が高まった。山間部など容易に確認作業が進まない事情はあるせよ、1週間後には次の台風22号が接近、県内は再び土砂災害の危険にさらされており、改めて行政の初動体制の強化が求められる。

 県によると、全壊した住宅の戸数も当初の集計より多い4棟と分かった。半壊したのは3棟。また浸水被害は床上119棟、床下387棟。道路や河川など土木関係の被害額は約118億円。農業被害も五條市の柿畑などで広がっている。

 農業被害については国が台風21号を激甚災害に指定、地域を特定せずに補助対象とする方針を示しているが、公共土木や中小企業の被害は対象とならない見通し。県はさらに詳細な調査を行った上で、道路や河川の復旧工事に必要な費用を予算化、12月県会に諮るとしている。

 また、併せて県は庁内に「土砂崩壊対策検討委員会」を設置。今月10日に開いた初会合では、生駒市西松ケ丘▽三郷町東信貴ケ丘▽吉野町楢井―の3カ所の被災地について、現状を確認するとともに今後の対策を協議した。年内にも復旧対策を終えたいとしており、現場の取り組みを整理して、本年度内には土砂崩壊対策の「基本方針」もまとめる方針。

 同検討委員会は部局横断のメンバーで構成しており、いわゆる縦割り行政が陥りがちな対策の遅延を排し、速やかな対策実施に期待する。加えて高度な専門性や技術を要する復旧作業については、県と市町村の役割分担にも旧弊を持ち込まず、実効性を確保し、機動的に対処する「奈良モデル」の取り組みも必要だ。

 暮らしの安全を守るには、危険箇所の補修など災害に強い地域づくりを進めるのはもちろん、防災意識の啓発、緊急時の避難誘導など多岐にわたる行政の役割が求められるが、住民の信頼に応えるには、迅速な災害復旧こそ欠かせない。

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