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金曜時評

市民本位の選挙を - 編集委員 山下 栄二

 任期満了に伴う奈良市長選の告示(7月2日)まで1カ月半。今のところ3選を目指す現職の仲川元庸氏と、前生駒市長で弁護士の山下真氏の2人がともに無所属での出馬を表明。自民党や共産党も候補者の擁立を目指しており、どういう構図になるのか、いまだ混とんとしている。水面下の動きが活発だが、もっと目にみえる市民本位の選挙になるよう期待したい。

 先に出馬の意向を明らかにした山下氏は生駒市長時代の実績をアピール。仲川市政に対しては一定の評価をする一方、「市民が必要とするサービス充実にスピード感がない」と指摘した。一方、仲川氏はこれまでの2期8年で、財政再建などで「大なたを振るった」と実績を強調し、課題の新斎苑(火葬場)整備の完成を見届けるのが責任とした。

 いわゆる事情通の間で事前にささやかれていた「仲川・山下対決」が現実のものとなったわけだが、ともにボランティア選挙を掲げ、「市民党」を旗印にしており、保守層からは「どう違うのか」との戸惑いとともに「このままでは投票先がない」との不満もあるという。

 一般市民からみて不可解なのが、国政第1党の自民党だ。民進党県連代表の馬淵澄夫衆院議員が、自民が候補を擁立した場合、「仲川、山下両氏の間で1本化しなければ」と仲川氏出馬会見前の記者懇談会で話したくらい、保守層をつかむ候補者があれば、今回の選挙は自民にとって絶好のチャンスといっていいにもかかわらず、いまだに候補を擁立できていない。

 県連執行部の指導力不足、とりざたされている党内の内部闘争が原因ではないのか。このままでは党利優先、市民不在との批判も当たっている。自民と「友党関係」にある公明は、市長選で自民が新人を擁立した場合、「自民一本化」「人物本位」を条件に推薦するが、いずれか欠けても自主投票にする方針。自民の本気度をためしているといってもいいだろう。自民にとって不戦敗は許されない。

 市長選に立候補予定者説明会には、仲川氏、山下氏の陣営のほかに、候補者擁立を模索している自民党と、共産党を含む革新系市民団体、無所属新人の擁立を検討しているという市民有志の計5陣営が出席した。有権者の選択肢が増えるという民主主義の観点からは、5陣営程度の出馬はあっていいのではないか。市民にとって意義のある選挙戦となってほしい。

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