奈良のイメージといえば大仏さまだが、「奈良のシカ」も、奈良のシンボルといえよう。奈良マラソンをはじめ、キャラクターとして活躍している。

　奈良公園周辺に生息するシカは、国の天然記念物となっている。市民だけでなく観光客に親しまれ、近年は外国人観光客にも喜ばれている。

　世界遺産の地で、これほど多くのシカが自然にふるまっている姿は、驚きでもある。このような公園を持つことを誇りとしたい。それだけにシカを保護、管理する取り組みが大事だ。

　毎年、交通事故やビニール袋を食べて死亡するなどの報告がされている。またシカによる近隣の農作物被害もあり、こちらも農家にとっては深刻な問題だ。

　県は公園周辺に生息するシカを四つのエリアに分けて、保護・管理を進めていくという。行政が本腰を入れて取り組むことは大いに結構だ。市民も協力を惜しまないだろう。

　人間とシカとの共生は、世界に誇れるものだ。奈良公園だけでなく、平城宮跡や県内のあちこちで、そんな光景が見られたら楽しい。来週の奈良マラソンで奈良のシカもランナーを歓迎する。(治)