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国原譜

仏像や文化財に油のような液体がまかれる…

 仏像や文化財に油のような液体がまかれる事件。昨年春ごろに県内などで被害が相次ぎ、関係者をはじめ、広く社会に戸惑いと憤りが広がった。

 あれから1年以上が過ぎ再発に対する不安も薄れ始めていたのに、今また似た被害が興福寺で発生、東金堂の仏像などから液体の跡が見つかった。

 昨年の事件では複数の事案にかかわったとみられる男が特定されたが、本人はインターネットなどを通じて自らの行為の正当化を主張、模倣犯の存在を指摘する声もあり懸念は消えていない。

 興福寺の被害状況については、まだ県警が捜査中で確かなことは分からないが、液体からは整髪料のような臭いがしたという証言もあり気になる。

 仏像や文化財を単に芸術品と見るなら、すべてガラスケースに入れて厳重管理するのも一案かもしれない。だが信仰対象であり、精神性を重んじるなら彼我が同じ空間を共有する意義は大切。

 東京で展示され仏像ブームを呼んだ阿修羅像などが帰県後、露出展示に切り替わり奈良の魅力を増す役割も果たした。今回その国宝館も狙われたことに驚き、心を痛める。(松)

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