何か起こるのか。何か変わるのか。世界中が大国アメリカの行く末を見守っている。「トランプ・ショック」が何であるかを見極めるためだ。

　兆候を探るヒントの一つは大統領選の過程でトランプ氏が繰り返してきた過激な発言。それからうかがえる「内向き志向」が本物かどうかが焦点だ。

　中東やヨーロッパの不安定な情勢が目に付くようになってナショナリズムへの関心が高まり、既に内向き化の傾向は世界に表れていた。アメリカがそれに拍車をかけるのかどうか。

　それは経済面から見れば、グローバル化に対する反グローバルへの転換ということだろう。その視点に一つ加えたい。インターナショナルか反インターナショナルかだ。

　同じようだが、少し違うと言いたい。宮沢賢治が「銀河鉄道の夜」の中で「ほんとうのたった一人の神さま」という言い方で示唆した普遍性への志向を認めるかどうかという視点だ。

　世界には地域があり、それぞれの歴史がある。言語もさまざま。しかしそうした違いを超えて貫く普遍性はあり得るか。いま求められるのは、その「哲学」ではないか。(北)