昭和45年、千里の丘を会場に開かれた日本万国博覧会。それが正式名称だが、各地で同様の催しが相次ぎ、いつしか大阪万博の呼称が定着した。

　日本全体を視野に入れるのか、それとも大阪という地域性を前面に押し出すのか。おおさか維新の会がきのう、日本維新の会に看板を掛け替えた。

　万博と政党の名称を同列に語っても意味がないが、大阪の経済力や政治力あるいは文化力の浮沈を見れば、名称の変化に共通の課題も感じる。それは大阪と関係が深い県にとっても関心事だ。

　おおさか維新の会として戦った7月の参院選。地域色が強い名称に京都などでは反発が強かったが、奈良では意外に抵抗感が少なかったとも聞く。

　この選挙で比例代表の県内得票率は、おおさか維新の会が民進党を上回った。また同勢力は地域ごとに独自の活動や取り組みもあって、多様性と柔軟性が既存政党にない魅力にもなってきた。

　改称で支持地域を広げて国政政党へ再脱皮する意気込みだろうが、大阪府知事が代表を務める地域政党の出自は消し難い。また橋下氏以来の強い個性が薄れるのは惜しい。(松)