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金曜時評

今こそ歴史点検を - 論説委員 北岡 和之

 国会で、わずか2日間の「閉会中審査」が予算委員会で行われた。約2カ月ぶりの国会審議だったが、どうにも中途半端な感じに終わった。やはり、きちんと臨時国会を開くべきではないか。

 安全保障関連法に関しても、すっかり熱が冷めたようになったが、いったん浮上した論点が消えてしまう訳ではない。11日の参院予算委で、自衛隊を南シナ海に派遣して行う警戒監視活動について、安倍晋三首相が「さまざまな選択肢を念頭に置きながら、十分な検討を行っていきたい」としたことも記憶にしっかりとどめたい。

 安保関連法をめぐる国会での論議などを通して、大事な点ではないかと多くの人が思ったのが、明治から現在までの近現代史の見直しではないか。これからの「戦争と平和」を考えるため、もう一度時代を振り返って歴史認識を点検することだ。

 適当な参考書がないかと見回してみると、手近にあった。県が平城遷都1300年を記念して設立した「日本の東アジアの未来を考える委員会」が行ってきた研究活動をまとめた報告書だ。太平洋戦争に至る過程に、いくつもの視点から識者が言及しており、興味を引かれてぼつぼつと読み進めている。

 併せて「ポツダム宣言」や日本の「降伏文書」、昭和18年11月に連合国が日本の領土についての具体的な方針を示した「カイロ宣言」などをまとめた小冊子「『ポツダム宣言』を読んだことがありますか?」(共同通信社発行)に当たると理解が深まる。

 いまだに統一的な見解がないらしい「原子爆弾投下の犯罪性」や「無条件降伏」などについても、繰り返し問い直されるべきだろう。無条件降伏については当時の米大統領ルーズベルトが、まだ戦争中の昭和18年1月に雑談の中で初めて口にしたというが、終戦を見ずして同20年5月に死去したジャーナリスト、清沢洌の日記「暗黒日記」(復初文庫など)の同18年10月8日付のページなどにもこの言葉は出ている。

 戦後70年は単なる記念日ではない。いわゆる「戦中派」が消滅していく時代にあって、平和への展望をどう開いていくかを一歩ずつ進んでいくための礎にするということだ。来年の参院選からは「18歳選挙」も実施される。戦後世代、いや戦無世代も歴史の記憶をとどめ続けねばならない。

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