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金曜時評

遠い一本化への道 - 論説委員 北岡 和之

 橿原市長選挙(10月18日告示、25日投票)への対応で、自民党の分裂状態が続いている。県4区支部の役員会で、元同党県議の神田加津代氏(71)の推薦で意見が割れ、支部長の田野瀬太道衆院議員への一任で推薦が決まり、この決断への不満が党内でくすぶっているという。

 市長選には3選を目指す現職の森下豊氏(57)が出馬表明しており、同党県連の幹部や県中南和地域の市町村長には森下氏の支持者も多い。

 党県連会長の奥野信亮衆院議員(県3区)がどうかじ取りをするのか注目しているが、いまのところ“音なしの構え”状態だ。県連幹部からは「近づきたくない選挙」という声さえあり、選挙後のしこりも懸念される。

 奥野氏は8月22日に記者会見して党県連4役などの主要人事を発表。この際に「国会議員団にも派閥があり、県議団の会派はこれに近いもの」とした。県連と県議団は別だとして事実上、県議会会派の“一本化問題”を棚上げした。

 だが、このような対応では、橿原市長選で起きているような党員のねじれ状態を解消できないのではないか。そもそも奥野氏と田野瀬氏が同市長選をめぐって協議したことがあるのかどうか。

 維新の党の分裂騒動が注目を集めているが、政党は看板が変わらないことだけが自慢ではあるまい。たとえ一般市民の目線からは首をかしげる事態に映るようなことでも、政党内部にいる者にとっては「必然的な一筋の道」にしか見えないこともあり得るからだ。

 ただ、組織の責任者が自ら最善を尽くす姿勢を見せずに、状況を見守るだけでは責任を果たしたことにならないのではないか。政治家にとって極めて大切な説明責任を、リーダーたるものは常に実行していくよう心掛けるべきだ。

 奥野氏は今回の県連役員人事にあたって、どの県議とどのような接触をしたのかを明らかにしていない。会談できなかった県議がいたことは認めて「気持ちは通じたと思う」としたが、それで済むのかどうか。県議会の会派や地方選挙における分裂状態が「多少の波風」で済まされるのかどうか。政治組織だから“仲良しクラブ”である必要はない。組織活性化には論戦もあっていい。だが漏れ聞こえてくる関係者の話からは、まだ「一本化」は成っていないし、道は遠いと感じる。言わずもがなで、奥野氏だけの責任とすべきでないのは当然だが。

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