注目記事奈良県内の自治体異動名簿掲載

金曜時評

県民あげて活動を - 編集委員 山下 栄二

 先月、香芝市で小学6年女児が連れ去られ監禁される事件が起こった。事件を受けて、県警はもちろん学校、行政、家庭、地域で「子どもの安全」を守る取り組みが一層、強化されてきている。県民あげて再発防止に取り組んでいく必要があるだろう。

 先月4日午後に香芝市のリサイクルショップに家族4人で買い物に来ていた女児が、男に女子トイレから車で連れ去られた。買物客が多い中、人通りの少ないトイレ付近での「白昼の死角」をついた事件として世間に衝撃を与えたが、男の車を目撃した同店従業員の目撃情報や、近くのコンビニの防犯カメラの映像などから翌日、男は逮捕され女児も無事保護された。

 事件の後、香芝署は、同市内の大型商業施設を中心にチラシ配布や店側への注意喚起を行う啓発活動などを展開。また、香芝市は市内にある駅や交差点に防犯カメラを設置する方針だ。「抑止力、早期発見につながる」として、防犯カメラ設置の動きは県内の他自治体にも広がっているという。

 保護者らが、子どもの安全に気を配らねばならないのはいうまでもない。本紙の社会面には昨年から、不審者の情報を提供する県警防犯情報を掲載し、読者から好評を得ている。県警の提供する各種情報に保護者らは注意する必要がある。防犯標語「いかのおすし」(知らない人について“いか”ない、車に“の”らない、“お”おきな声で叫ぶ、“す”ぐ逃げる、“し”らせる)など各学校での防犯教育の徹底が望まれる。

 本紙読者投稿欄「みんなの広場」で子どもの安全をテーマにしたところ、「キャーでなく大きな声で周囲に知らせる」「一人歩きは絶対させないこと」「地域安全マップ作成を」など助言が数多く寄せられ、この問題に対する読者の関心の高さをうかがわせた。

 核家族化で、近所付き合いは希薄になってきているといわれる。しかし、ボランティアによる青色安全パトロール隊や通学時の保護者、地域住民らによる子ども見守り活動は年々活発になってきているようで、今後さらなる広がりに期待したい。もちろん、いくら注意したからといって同様の事件が完全に防げるわけではない。しかし、できうる限りの努力をすることによって、発生の確立をゼロに近付けることは可能であり、それは私たち県民の義務ではないだろうか。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド