特集奈良の鹿ニュース

金曜時評

地域創生への期待 - 編集委員 辻 恵介

 「地方(域)創生」という言葉が、昨年あたりから世間で広まり、国は担当の大臣まで置いて、全国的に継続性・定着性のある「町起こし村起こし」を積極支援するようになった。かなり前のことになるが、「日本列島改造論」が燎原(りょうげん)の火のごとく広がったが、そんな勢いさえ感じられる昨今である。

 まもなく統一地方選挙の季節がやってくる。一番身近な選挙であるだけに「いかにして地元の経済、産業、文化などを振興し、若者らの定着を図り、住民が住んでよかったと思えるような街づくりをしていくか」―立候補者には、ぜひ個々人のビジョンを聞かせてほしいものだ。

 さて、その地域起こし策の一つに「バル」というイベントがある。全国各地で盛んに行われている、街の活性化を目指して企画されるもので、一般的にはどんな店でも事前購入したチケットで料理と飲み物が味わえる食べ歩き、飲み歩きの企画のことだ。県内でも奈良市での「あるくん奈良まちなかバル」、生駒市での「いまこいバル」、天理市での「てんりなバル」などが開かれ人気を博している。

 近いところでは3月6日の金曜日に「郡山筒井バル」が、大和郡山市内で初のバルとして開かれる。近鉄橿原線筒井駅前の「筒井プラザ商店街会」を中心とした実行委が主催。食事処・居酒屋、喫茶・カフェ・バーから、雑貨店、自転車屋さんまで、幅広い業種の23店舗が参加している(2月25日付10面既報)。

 筒井駅周辺は「昭和工業団地」の“玄関口”にあたるが、景気の落ち込みなどから、団地の従業員らの利用も停滞気味のようだ。そこで、地元の若手経営者らが立ち上がり「知らなかったお店に出合うチャンス」を企画。新たな仕掛けをすることで、人の流れをつくり出し、リピーターを増やすことを狙っている。

 事前に各店自慢の限定メニューを設定しているので、「マップ(店の案内地図)」片手に自分の好みで店を選べるのがうれしい。事前に「メニュー、金額」などが掲示されているため、消費者心理としては安心して立ち寄れるところが魅力だ。

 筒井での取り組みは、地域内にある「延命地蔵尊」が“世話人”として、核になっているようだ。年中行事として「鏡開き」や「祭」があり、人々の生活を陰で支えてくれている。みんなの心の拠り所がある地域は、結束力も強い。

 駅近なので、仕事帰りにぶらり立ち寄れそうだ。地域創生への期待が膨らむ。問い合わせは同市商工会内の事務局(電話0743―53―5955)。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド