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金曜時評

信頼の地域創生を - 主筆 甘利 治夫

 「イスラム国」による人質殺害は、中東戦争が遠い国の出来事と思っていた日本に、いやでも世界との関わりを認識させた。世界で起きる事件や事故は、日本人が関係するものが頻発している。それが「今」なのだろう。

 国内に目を転じると、昨年、神戸市で小学1年生が殺され、長崎県佐世保市の高校生殺人など記憶に新しいが、今年になって、名古屋大学の女子学生による老女殺人に驚かされ、続いて隣の和歌山県紀ノ川市でも近くの若者が小学生を殺すという、普通の暮らしをしている人々の生活を脅かす事件が起きた。都会であるとか田舎であるとか関係なく、どこに暮らしていようが、「物騒な世の中になってしまった」と思わせる。

 20年前の阪神淡路大震災、そして4年前の東日本大震災で、地域の人々との「助け合い」の大切さを知り、「絆」という言葉が私たちの間に定着しかかったのに、こんな事件が続発し、身近な人々を「疑う」ことをせねばならない。街中はもちろん、駅や公共施設、マンションなど、至るところに監視カメラが設置される世の中でもある。プライバシーなどどこへやら、どこで誰に見られているか分からない、お互いが監視しあう社会のなかで生きているともいえよう。

 そんな暮らしにくい時代に生きているわけだが、個人の注意、個人の責任であるとするのも限界がある。「信じあえる」というのは理想かもしれないが、せめて地域だけでも、信頼しあって暮らしたいものだ。

 今年は4年に1度の統一地方選挙の年でもある。まさに地域のことを考える絶好の機会だ。2か月後には知事選と県議選が終わっている。全県の課題は市町村と違って捉えにくいかもしれないが、産業、雇用、教育、医療、交通、文化など、一つの自治体ではできなくても、県との連携のなかで解決できることも多い。そして県民のふるさとでもあり、県民が誇れる「奈良」という固有の独自性をいかに宣揚していくかが求められる。

 選挙前でもあり、立候補予定者の写真付きパンフレットが自宅のポストに投げ込まれている。実績とともに夢が語られているが、直接、本人を知らなければ、そんな文章を参考にするしかない。

 兵庫県の政務調査費をごまかした絶叫県議のような、「お金に汚い」候補者がいないかどうか、しっかり見抜いていかねばなるまい。

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