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国原譜

正倉院展が始まると古都の秋が一段と深まる。奈良公園の…

 正倉院展が始まると古都の秋が一段と深まる。奈良公園のナンキンハゼも緑、黄から赤へと葉のグラデーションが一層濃くなる季節。

 今年は修理の終わった正倉院の校倉造り建物が3年ぶりに外観公開される。瓦のふき替え工事中の見学会で間近に見たが、柱の太さや屋根の大きさに圧倒されたものだ。

 屋根の高さは地上から14メートル。足場の上からのぞくと、東西の宝庫や経蔵、大仏殿などがめったに見られない角度から眺めることができ、その高さに驚いた。

 昔は三角状の木を組み上げた校倉造りの建物が外気を防ぎ、1300年もの間、宝物を守り伝えてきたと教えられた気がするが、実はお宝を守ったのは杉の唐櫃(からびつ)だったと最近知った。

 杉には調温、調湿作用があり、オゾンや二酸化窒素など宝物を劣化させる物質を吸着する機能があるらしい。もちろん腐食に強いヒノキの高床式建物も至宝を守ったはずだ。

 博物館で天平美人や聖武天皇ゆかりの品々を鑑賞するのもいいが、文化財保護などという思想のない時代から「うつわ」として連綿と立ち続けてきた建物もぜひ見てほしい。(コ)

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