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金曜時評

また話題づくりか - 主筆 甘利 治夫

 大方の人が「やはり」と思ったのではないか。

 日本維新の会の共同代表である橋下徹大阪市長と石原慎太郎氏が会談し、分党を決めた。憲法観の違いから、石原氏は、橋下氏が主導する結いの党(江田憲司代表)との合流に反対したためだ。

 当初から両氏が一緒であることに違和感はあった。

 橋下氏は、平成20年1月の大阪府知事選に出馬し初当選し、橋下旋風を巻き起こした。その後の堺市長選などでも威力を発揮した。そして4年前に地域政党「日本維新の会」を結成している。続いて同23年の大阪市長選に出馬するために知事を辞職、知事選には幹事長の松井一郎氏を立て、自らは市長選に出て両氏とも当選した。衆院解散が近づくなかで、その勢いのまま国政政党「日本維新の会」を結成し、橋下氏が代表に就任している。

 一方の石原氏は、自主憲法の制定を目的に国政復帰を目指し、都知事の職を辞した。太陽の党を結党したが、すぐに維新に合流して、橋下、石原の両氏が共同代表に就いた。衆院選では54議席を獲得して、第3党に躍り出た。東京の石原氏、大阪の橋下氏と東西の人気を分かちあう両氏だけに、一つの勢力となった。

 しかしながら、衆院選直前の合流は、やはり選挙目当ての感は否めず、どこまで政策の一致をみたか、志しを同じくする政党であったかどうか。

 昨年の首都決戦となる東京都議選では、わずか2議席の惨敗。続く参院選でも8議席と苦戦した。そして橋下氏の地元ともいえる堺市長選では維新候補が敗れた。さらに大阪都構想が行き詰まり、橋下氏は任期途中で辞職し、出直し大阪市長選という奇策に打って出た。各党が“挑発”に乗らなかったため、橋下氏の一人芝居となった。

 維新の陰りが見えてきたなかで、野党再編に向けて動きだした。今度の分党騒ぎも、みんなの党から別れた結いの党との合流問題が引き金になっている。

 ここ数年、橋下氏の話題作りに振り回されてきた感がある。県内でも先の衆院選で全選挙区に候補者を擁立。また昨年の参院選でも自民党県議が離党し、出馬しようとした。同時に行われた奈良市議選では、維新系候補が軒並み上位当選を果たした。奈良における影響力の大きさが分かる。

 維新が目指すものは何か。その実像を理解せぬまま、話題性ばかり先行してきたように思う。奈良と大阪は直結し、その影響力は大きい。それだけに、1年を切った統一地方選を前に、維新がいかなる政党なのか、何をしようとしているのか、県民に分かりやすくしてほしい。どの政党にもいえるが、その時々のムードや風で、4年間を託してはならないからだ。

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