特集奈良の鹿ニュース

金曜時評

忘れるな説明責任 - 主筆 甘利 治夫

 満開の桜のもとで、大学などの入学式が行われ、若者たちは決意新たに出発した。県内各地の桜の名所も、近隣の人々や観光客を楽しませている。まさに春本番といったところか。

 しかしながら、今月1日からの消費税増税で、不安なスタートでもある。5%から8%へと3%の引き上げとなったが、あらゆる商品が対象とあって、個々の家庭での負担総額は大きなものになろう。そんなことで買い控えをすることになれば、景気回復にも大きな影響が出かねない。この1、2カ月が正念場となる。

 一般国民にとっては数十円、数百円単位の話だが、昨年来から問題になっていた東京都の猪瀬直樹前知事の5千万円といい、今度はみんなの党の渡辺喜美代表の8億円借り入れが発覚した。国民は円単位の消費税でピリピリしているのに、何千万、何億という単位の話が、右から左へと簡単に動く世界が不思議だ。

 いずれも選挙直前に借り入れたもので、「個人が借りた」と強弁するが、そんな話が通るのか。猪瀬氏は略式起訴されており、渡辺氏は違法性を否定、今後の対応が注目される。両氏とも国民が納得いくような説明責任がある。

 全聾(ぜんろう)の作曲家といわれた佐村河内守氏が、代作させていた問題は記憶に新しい。そしてまたノーベル賞級といわれたSTAP細胞の発見が、日本の科学技術の信用を損なう国際的な問題に発展している。理科学研究所の調査委員会が、論文の不正を結論づけたが、研究ユニットリーダーの小保方晴子氏は「承服できない」と反論している。疑念に答えるために小保方氏は、公の場で根拠を示して説明する責任があろう。

 しかるべき立場にある人は、言動に責任があることを忘れてはなるまい。奈良県という小さな県ではあるが、行政機関は唐突に物事を変えたり、施策を発表し、説明不足の場合が多い。奈良市の例でも、旧市役所跡につくられたならまちセンターの展示コーナーがなくなるといい、批判の声が上がっている。市のホームページで半年前に閉鎖を発表したというが、市民の誰もがホームページを見ていると思ったら大間違いだ。過去10年ほどの利用者すべてに、周知する丁寧さが必要だったのではないか。

 それより、展示コーナーを利用してきた人たちの声をどこまで聞いたのかどうかだ。拙速はかえって遅くなると知るべきだ。

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