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金曜時評

論憲へ選択肢示せ - 編集委員 松井 重宏

 任期満了に伴う参院選は7月4日公示、同21日投票の日程が有力視されており「政治決戦」の幕開けまで、残り2カ月と迫った。昨年12月の衆院選を受けて誕生した安倍政権の信を問う選挙。経済対策など一定の成果が現れ始めている政策への評価、また憲法の改正問題など新たに浮上した争点も多く、有権者は重い判断を求められる。

 県選挙区(改選数1)は、平成19年選挙に民主党公認で出馬し当選、その後、国民の生活が第一(現・生活の党)に移った中村哲治氏が、昨年の衆院選くら替え立候補で失職、空席となっており、現職は不在。そうした中で、これまでに自民党の堀井巌氏、共産党の谷川和広氏、日本維新の会の山本進章氏、政治団体「幸福実現党」の田中孝子氏―と各党公認の新人4人が立候補を表明、選挙に向け準備を加速させている。しかし、そこに当然あるべき選択肢、民主党の公認候補がまだ決まらない。

 民主党は県選挙区で平成16年に前川清成氏が初当選して以来、3連勝を重ねており「不戦敗だけは、絶対に許されない」というのが党県連、支持者に共通した認識。ただ意欲を伝えられていた女性医師の擁立が最終的に頓挫。人選は事実上、白紙に戻ったとみられ、再調整にはなお時間がかかりそうだ。

 今後は、短期決戦に対応するため即戦力となる国政経験者や元県議ら“浪人組”の活用も視野に入ってきそうだが、もちろん「誰でも良い」というわけにはいかない。特に焦点となる憲法の改正問題は、人選にも影響しそう。民主党は同問題で党内の議論をまとめきれていないが、だからこそ選挙では候補者自身の考えにスポットが当たる。同問題で民主党の思惑が「あいまいさ」にあるとしても、候補者には明確な憲法観を示せる人材の登場を強く望む。

 憲法問題では、自民党が参院選で96条改正を公約に掲げる方針。安倍晋三首相は日本維新の会などとの連携も含め、参院選で改憲に必要な3分の2の勢力を確保したい考え。これに対して公明党は憲法改正の国会発議要件を緩和する96条改正について「慎重に扱うべき」と反対姿勢。共産党などは護憲を前面に押し出した闘いを挑む。対応が遅れた民主党も、ここに来て96条改正に反対、さらに憲法の一部条項について改正案策定を模索するなど漸く党の方針を固めつつある。

 96条改正は手続き上の問題だが、その先には自民党が目指す集団的自衛権の行使容認があるし、日本維新の会は「道州制改憲」を目的に掲げている。外交、地方自治で「日本の形」を変える大きな議論へ、参院選では各党が党利党略を超え、同問題と正面から取り組む姿勢を示す必要がある。まして候補者を立てられず、その場に“不在”の政党などあり得ない。選択肢が出そろい有権者が納得できる選挙を実現するため、各党は十分な議論を尽くせる環境を早期に整えてほしい。

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