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金曜時評

地域けん引に期待 - 編集委員 松井 重宏

 今年の県内地方選挙のトップを切って、あさって27日に橿原市議選が告示される。定数24に対して30人弱の立候補が予想され、選挙戦になるのはほぼ確実。世論を二分するような激しい争点は見当たらないが、各陣営が積極的に政策をアピール、その論戦を通じて住民が地域の課題に目を向ける機会になることを期待したい。投票は2月3日。

 ここで言う「地域」とは、市内を細分化した各候補者の地盤でもあるだろうが、同時に市内全域を見通す視点も必要。加えて、特に橿原市の場合は中南和地域の中核として、より広い地域を想定した「まちづくり」を考えることが求められる。人口約12万5千人、奈良市に次ぐ県内第2の都市としての役割は増している。

 森下豊市長が2期目の所信表明で、スローガンの一つに「近隣市町村と信頼関係を築く、まちづくり」を盛り込んだのも、そうした自覚の表れだ。同市長は「橿原市がリーダーシップを取り、さまざまな事柄に取り組んでいく」と主張。近隣市町村と連携を密にして「行政運営で困難な状況にあるときには手を差し伸べ、互いに手を取り合って中南和地域を元気にしていく」と訴えている。

 その意味でも今、同市が早期に解決しなければならない課題に市庁舎の建て替えがある。完成から50年を経て老朽化が進む同建物は現在の耐震基準を満たしておらず、予想される大規模災害に向け、広域支援の拠点として耐え得る施設の整備が急務だ。

 ただ現地での建て替えは事業費の問題から困難なため、近鉄大和八木駅南側の市有地を活用する案が浮上。同用地にホテルを誘致して進出企業の施設に賃料を支払い、市庁舎機能を移転させたい考え。森下市長は「平成28年までを目標にホテル誘致を進めたい」と話し、同施設では高さ制限を緩和、現行の31メートルを45メートルにして「14、15階建てで県内一の高さを持つホテル建設を予定。市のシンボルにしたい」と意欲を示す。

 果たして思惑通りにいくのか。この市有地は過去にホテルの誘致計画が頓挫した経緯もあるだけに予断を許さないが、先には幹線道路沿いの景観保全のため屋外広告物条例も制定した一方で、今回は高さ規制を緩和するメリハリの利いた対応は評価されるだろう。

 また市は今回、新たな手法として「民間活力導入のための対話型市場調査」を実施。募集に応じた民間事業者の知恵を公共事業に加えることで、より効果的な事業推進を目指すという。

 当然、新たに選出される市議会での議論、バックアップも重要になってくる。交通の要衝という好立地に恵まれた橿原市。その可能性を引き出すのは、市議会の役割であり、議員を選ぶ市民の役割でもある。北和の奈良市とともに「均衡ある県土の発展」を担うけん引役として、橿原市の発展の基盤づくりとなる「市庁舎問題」の成否が注目される。

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