注目記事奈良県内の自治体異動名簿掲載

金曜時評

法務のプロに期待 - 編集委員 辻 恵介

 「総選挙」が終わった。といってもアイドル集団、AKBの新シングル選抜メンバーを決めるイベントのことではあるが、6日の開票状況がTVなどで中継されたこともあって、世間の注目を浴びた。民主党の“日程表”にも、この「総選挙」の記載があったとか伝わっていて、政界の人たちにも国民の関心事の一つとして侮れない行事であったようだ。その政界では、野田首相と小沢一郎元代表らによる2回のトップ会談を経て、「消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案」をめぐる民主、自民両党の修正協議が始まる見通しとなった。6日、民主党の輿石幹事長が21日までの今国会会期内の法案採決に向けて努力する意向を表明し、自民党がこうした要請を受け入れた。公明も7日になって、一転して同調する方針を決めた。

 ただ、各党の主張には隔たりがあり、民主党内にも修正協議への反発があって、合意への道のりは険しいようだ。会期末(21日)が迫り、焦り気味の首相に対して小沢氏は「衆院採決で法案を否決し、内閣総辞職を迫る」腹積もりだという。法案成立に政治生命をかけるとする野田首相の思いは、党内に広がらないままだ。

 それにしても、この党は幹部がバラバラに動いていて、統制がとれていない印象が否めない。

 民間人初の防衛大臣に就任した森本敏氏に対して、鳩山由紀夫元首相は「文民統制(シビリアンコントロール)上の疑義がある」との認識を示した、という。国会議員でないことや、自衛隊出身であることなどがお気に召さないようだ。

 だが、この分野ではシロウトの田中直紀氏らを防衛相という国の根幹にかかわるポストに連続して据えて、国会審議の混乱や停滞を招いたことなど、お忘れのようだ。時間と経費のムダ遣いが随分と多い。シロウトを任命したのは野田首相だが、森本氏の登場を阻むようなこの分野のプロが同党の中で育たなかった責任の一端は、党をつくって引っ張ってきた鳩山氏らにもあるのではないか。

 まあ、次の選挙で同党は大敗する、との予想もあり、将来のことをにらんで、あえて大臣の誘いを断った議員がいたのかもしれない。現に前原誠司政調会長などは「衆参ダブル選挙なら党は壊滅的状態になる」との認識を示しているぐらいだから同党の議員は次の選挙のことで頭がいっぱい、なのだろう。

 ともあれ、奈良県選出の滝実氏が法務大臣に就任したのは、県民にとっては喜ばしいニュース。この分野のベテランであり、今までの蓄積を生かして存分に働いていただきたい。今期限りの引退を表明されているので、まさに最後の御奉公となろう。ゆめゆめ、もう1期などとは周囲も言わないでほしい。

 しがらみに心を揺るがされることなく、法務のトップとして、この道のプロとして歴史に残るような仕事をしていただきたい。

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