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金曜時評

政翔会に資格なし - 主筆 甘利 治夫

 国会の会期末を控え、与野党の攻防も緊迫の度を深めている。

 野田佳彦首相が政治生命を懸けるとしている消費税増税問題を軸に、原発事故対応や電力不足といった喫緊の課題があり、いずれも国民生活に直結している。

 また解散・総選挙が取り沙汰されるなかで、急がなければならないのが、衆院定数の格差是正だ。違憲状態のまま選挙をするわけにはいかない。各党の消長に関係するだけに、党利党略による駆け引きであってはなるまい。一票の格差是正は、国民の権利の問題だからだ。制度改革が遠のけば遠のくほど、総選挙が遅れる。地域政党の大阪維新の会が、着々と候補者選びを進めているだけに、ここにも有利、不利といった思惑が働きかねない。

 党利党略といえば、6月は県議会をはじめとした役員改選の季節で、ここでも水面下の動きが始まっている。

 県議会は最大会派であるはずの自民党県議が、3会派に分裂したままだ。20人の議員がいながら、主流派といえる自民党会派が12人、そして自民党改革5人、自民党未来3人に分かれている。「県議会と県連(奥野信亮会長)は違う」と、いくら建前を言っても、現実はそうはいかない。政権交代で野党に転じた自民党は、一枚岩となって、来るべき総選挙を戦わなければならないのに、実態はそうなっていない。

 ましてや総選挙を控え、民主党と対決すべきなのに、「役員改選で民主党と手を組む」との観測も流れ、民主党議長の誕生までささやかれる始末だ。そこまで弱体化したら、選挙も戦えまい。県連執行部に主流派の県議がいないために、いつまでも締まりのないものになっている。

 役員改選については、何といっても奈良市議会に注目せざるを得ない。

 昨年の議長選の駆け引きは記憶に新しい。後に買収工作が発覚し、当時の議長が逮捕され実刑判決を受け、議会の信用を失墜させた。

 それだけに所属議員が逮捕され、事件への関与疑惑が拭えない、当時、最大会派であった政翔会(浅川仁幹事長)の議長選への対応、姿勢が問われよう。

 今度の議長選から、立候補制にするというが、それが改革と言えはしない。事件の真相解明に消極的だった議会だけに、市民の関心も高まっている。

 昨年は、春先に元副議長の池田慎久氏が最大会派だった政翔会入りし、「議長ポスト狙い」との見方がされた。政翔会に所属すれば「議長になれる」という図式があった。ところが、独自候補を擁立していた共産党を含む反政翔会連合でまとまったため、様相が一変した。

 無所属議員を含めて、過半数の20人が反政翔会で固まった。しかし、選挙で白票が1票あり、2人が19票の同数となり、くじ引きで議長が決まった。結局、4人という小数会派の政友会から上原雋議長が誕生したわけだが、票読みで反政翔会連合が「勝つ」はずだったのに、事件で分かったように、政翔会による切り崩し工作が浮き彫りになった。

 浅川幹事長は、一連の事件を受け「けじめをつける」としたが、そのけじめはついていない。今度の議長選に関しては、政翔会は候補者を出す資格もないだろう。事件を反省するなら当たり前のことだ。市民は事件のことは、けっして忘れていない。

 それだけに政翔会以外の会派の責任は大きい。県都の議長にふさわしい人を選ばなければならない。そして分かりやすい議長選であってもらいたい。各会派やそれぞれの議員の動きを、しっかり見ていきたい。

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