特集奈良の鹿ニュース

金曜時評

馬淵補佐官招致も - 編集委員 辻 恵介

 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐって、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表小沢一郎被告に対して、東京地裁は26日、無罪の判決を言い渡した。検察審査会の判断による起訴では2例目、政治家としては初の判決だった。

これを受けて政界の動きは一気に活発化しそうだ。GWを間に挟んで「消費税増税法案」を中心にして、民主党だけでなく野党の駆け引きも激しく展開されるだろう。与党の実力者の“復権”への動きが何をもたらすのか、目が離せなくなった。

こうした政界の動きとともに、原発をめぐる動きもまた、このところ慌しい。その原点となった東京電力福島第1原発事故をめぐっては、政府・国会・民間と三つも「事故調査委員会」が存在している。「政府事故調査・検証委員会」(委員長=畑村洋太郎・東大名誉教授)、「国会…事故調査委」(同=黒川清・医学博士、元日本学術会議会長、東大名誉教授)、「民間事故調=独立検証委」(同=北澤宏一・前科学技術振興機構理事長)とあるが、このうちの政府事故調が、今月3日に菅直人前首相から事情聴取したという。

 2月に「報告書」を提出した民間事故調は、既に菅氏から事情聴取を実施済みで、残る国会事故調は、GW明けにも菅氏を参考人招致する方針だという。

 原発事故をめぐっては、わが郷土選出の馬淵澄夫衆院議員を忘れてはならないだろう。菅第2次改造内閣当時に、3月11日に発生した東日本大震災を受けて、同月26日に内閣総理大臣補佐官に任命された。「東北地方太平洋沖地震による災害及び原子力発電所事故対応担当」という、多少おおげさに言えば、今後の日本の命運を左右する最重要ポストの一つだった。

 6月27日に退任するまで、その奮闘ぶりは寡聞にして県民にはあまり伝わってこなかった。福島入りしたのも6月11日だったか、担当者として、相当遅いようにも思うが、それまでかなり、お忙しかったのであろう。

 そして、同月18日に地元で開催した国政報告会で民主党代表選への出馬に意欲を示してからは、補佐官という仕事の存在が薄れたかのように見えてしまった。その後は、8月29日の党代表選へ向けた動きが日々加速。退任後は各種マスコミに登場し、存在感を盛んにアピールしていたように記憶する。

 原発事故が引き起こした、数え切れない「負の要素」に悩む日本の現状を見るとき、地震発生からの3カ月という期間が、いかに重要な時期であったか、思い知らされる。政府や担当者による十分な対応がなされたのか、検証されているが、ならば、菅氏だけでなく、その片腕として補佐官の任務にあった馬淵氏も参考人招致すべきではないだろうか。

 職務を全うすることは難しい。馬淵氏を含む当時の政府関係者の対応や能力、仕事ぶりについて、しっかりと検証してもらいたい。

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