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真実語って浄化を - 編集委員 辻 恵介

2012年1月27日 奈良新聞

 旧聞に属するが、昨年末12月31日付奈良新聞1面の連載「2011ニュースこの1年」は「奈良市会議長選贈賄工作」の話だった。1年の締めくくりが、未来へつながるような明るい話でなかったのはとても残念だった。だが、事件は9月1日の本紙報道で発覚したものであり、同15日には大阪地検特捜部が市議会への家宅捜索を行っており“捜査継続”のまま越年する形になっていたのでラインナップからはずせない重要案件でもあった。

そしてようやく事態は動き、1週間前の1月20日、贈賄申し込みの疑いで、当時の最大会派・政翔会(浅川仁幹事長)に所属していた前議長の山本清容疑者が、同特捜部に逮捕された。買収工作の表面化から4カ月半を過ぎての大きな進展であった。

 今までの流れを簡単に振り返ってみよう。

 「20万円を渡す」「米5年分でどうや」といった内容の、聞くも恥ずかしい発言が、議員経験も豊富な山本容疑者から発せられたのは昨年6月24日。議長選当日の議長室だった。同容疑者が推す議長候補に有利になるように、白票を投じるように無所属の天野秀治議員に依頼したものだった。

 問題は本紙報道などで表面化し、贈賄工作のやり取りを、スマートフォン(多機能型携帯電話)で録音していた天野議員は9月、山本議員と、「山本議員は政翔会で主体的な役割を果たす立場になかった」として、工作の主導者を氏名不詳で特捜部に告発した。録音という動かぬ証拠の持つ力は、極めて大きかった。山本議員は潔く工作を認め、報道直後の9月2日に議員辞職した。

 それに比べて、渦中の政翔会関係者は、今回の逮捕後は、取材を求めても拒否したり“雲隠れ”したりと「逃げの一手」を決め込んでいるようだ。やましいことが何もないのなら、きちんと説明するのが筋で、市民に選ばれた議員としての当然の責務ではないのか。

 市議会自体も、昨年の議長選挙が「議会改革」を旗印に展開された割には、その後の対応が「様子見」に終始している感がある。自浄能力を発揮しようとする動きが表立って見られないのは情けないのひとこと。県都であり、皇室の方々や世界のVIPがやってくる国際的にも有名な奈良市の議会が、こんな有様でいいのだろうか。

 山本議員逮捕の日の記者会見で天野市議は「山本さんにとって買収をするメリットはなく、何らかの働きかけで動いたのでは。山本さんには真実を話していただきたい」と話した。全く同感だ。そう、一人で何もかもしょいこんで、真実を語らねば、議会の浄化はいつまでたってもなされず、「悪いやつほどよく眠る」状態は続いていくだけだ。

 昨日の奈良新聞記事審議委員会でも、この話題が出て「格好の悪い話」といった声もあった。捜査の進展に期待するとともに、真実はどこにあるのか、今後も真相究明への、そして不正追及への手を緩めてはなるまい。

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