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金曜時評

議員の手で解明を - 編集委員 北岡 和之

 大みそかまではまだ半月ある。年末の慌ただしさが増してきたとはいえ、この時点で1年を締めくくる回想にはひたれない。東日本大震災や福島第1原発事故、そして紀伊半島を襲った台風12号豪雨による災害などがあり、道半ばという思いの人は多いに違いない。

 加えて本県に限って言えば、県都を揺るがした二つの大事件がまだ何も解決しておらず、真相の全容解明への途中にすぎない。これでは、もうすぐお正月などと浮かれておられないのは当然だ。そして事件の全容解明の作業にしても、当事者意識に欠けているのではないかと疑いたくなるような関係者の動きの遅さが気にかかる。

 なかでも奈良市議会の議長選をめぐる贈賄工作問題。大阪地検特捜部が贈賄(申し込み)容疑で議長室などを家宅捜索したのだから、れっきとした“事件”だ。当事者の一人というべき前議長が議員辞職したが、この他の議員の関与が疑われるような証言もあって、何はともあれ全容解明が求められる。

 こうした思いは奈良市民だけでなく県民全体の強い要求だろう。それを代弁すべく市民から議会へ提出されたのが、この問題の真相を究明する調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める請願書だ。

 奈良市議会12月定例会最終日の14日、県民が見詰める中で同市議会議会運営委員会が出した結論は「継続審査」だった。

 やはり「一歩」は踏み出せなかった。紹介議員になった共産党でさえ、議会内での合意を尊重するという半身の姿勢をうかがわせた。公明党、民主党、政友会の「大阪地検の捜査状況を見て」というのも、今さらの逃げ口上。請願書は「市民の信頼を回復するためには、議会自身が真相の究明をおこなう事が必要」とはっきり記しているからだ。

 こうした後ろ向きの姿勢については、既に奈良新聞が指摘してきたところで、あらためて各会派の議員諸氏は「何もしない」という態度を鮮明にしたと受け取るべきだろう。

 そして、当初から百条委設置に反対してきたとされる政翔会は、当然のように「議会の問題に百条委はそぐわない」と百条委設置不要の考えを表明。14日の議運委では、同会派所属の委員である池田慎久議員も同様の考えを述べたという。地方自治法第100条にある「当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い…」という文言を盾にとっているようだが、議会が地方公共団体=自治体の外側にあるかのように見なしていいものかどうか。市民感覚では、自治体に関する疑惑や不正事件を調査するという場合、議会が対象外とはなっていない。全国では議会を対象にした百条委設置の例もあるといい、それを挙げるまでもなく、市民・県民が求めるところを酌むかどうかの問題ではないのか。

 「継続審査」では「何もしない」と言っているのと同じ。早急に再度議運委を開き、議会が動いていることを示さねばならない。

 

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