特集奈良ラーメン探検隊活動中!

金曜時評

回収への姿勢問う - 編集委員 辻 恵介

 「勤労感謝の日」の23日、テレビで久しぶりに政府の行政刷新会議の「仕分け作業」風景を見た。休日返上での仕事には感謝するが、今回は「提言型政策仕分け」で、年金制度に関して、特例によって本来より高い年金支給額となっている現状の水準を2012年度から速やかに解消し、減額すべきだと提言していた。

いきなり来年度からというのにはいささか驚いたが、この提言を受けて小宮山洋子厚生労働相が“物分かりよく”、12年度から3年かけて実現する意向を表明していたのには、またびっくりさせられた。

 現政権のやることは、TTP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加方針表明や消費税増税方針などを見るまでもなく、十分な論議がなされないうちに、ある日いきなり表明、といった印象がどうしてもぬぐえない。「そんなことで大丈夫なのか」という、危うさに対する心配の方が先にたってしまう。

 財務省は00年度から3年間、物価下落を反映させずに年金支給額の据え置きを特例で認めたことで約7兆円の「もらいすぎ」が生じたのだと説明している。

 年金については、世代間の負担と給付のバランスが崩れて不公平だとの指摘もあり、是正は必要だろう。だが、受給者だけでなく与野党からも相当な反発が予想されるため、実施されるかはどうかは今のところ不確実な情勢のようだ。

 一方、「仕分け」といえば、奈良市も精力的に行っているが、単に経費カットするだけでなく、対象事業の再生・活性化もまた必要なことだろう。住民サービスの低下にならないような細かい配慮が望ましいが、そうした点はどうクリアされているのだろうか。

 昨日24日付1面では、同市の平成22年度の滞納債権総額が一覧表とともに掲載されていたが、総額は約104億円にも上っていた。内訳は市民税、固定資産税などの市税が47億6500万円、税外債権が54億8800万円、公営企業が1億6400万円。針テラスの土地使用料2億1200万円が回収されたことで、21年度より総額は減ったものの、依然として高い水準にある。

 中には回収が不能な“焦げ付き債権”も含まれ、財産がないなどのそうした債権は、整理していくため「債権管理条例」の策定を検討しているという。104億円は、本来すべきだった徴収業務を、きちんとしてこなかった職務怠慢のツケの累積ともいえよう。

 担当部署の市債権整理課は「相手が市だからあいまいになっているが、滞納は無銭飲食と変わらない。回収不能な債権を適正に徴収するとともに、焦げ付いた債権は整理していく」と話していた。

 まじめに納税している人が不公平感を持つことなく暮らせるように、不心得者にはビシビシと厳しい姿勢で臨んでもらいたい。

 市長が積極的に、その陣頭指揮に立つのは言うまでもないことだが…。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド