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金曜時評

馬淵氏の戦いぶり - 編集委員 辻 恵介

 菅直人首相の後継を決める29日の民主党代表選挙は、23日に前原誠司前外相が出馬表明し、立候補予定者がほぼ出そろったようだ。昨日は党本部で立候補予定者への事前説明会が開かれ、7陣営が出席した。

この間の流れを見てみると、馬淵澄夫前国土交通相が先行する形で立候補の意志を表明してから、さまざまなテレビ番組や新聞、月刊誌などに登場し、自己PRや政策の主張を続けてきた。さらに鹿野道彦農水相、野田佳彦財務相、海江田万里経産相らが名乗りをあげ、これで終わりかなと思ったところに、前原氏が“駆け込み乗車”するような形で“民主党代表選挙号”に乗り込んできた。

 名乗りをあげた7人のうち、代表経験者は前原氏だけで、知名度があり、世論調査でも一定の人気がある(共同通信による全国電話世論調査では28%でトップ=20、21日実施、22日付既報)ことなどからも本命視されている。7人がそのまま選挙戦に突入するのかどうかも含めて、今後どのような動きになっていくのか目が離せなくなった。

 ただ、前原氏の、外国人献金問題を抱えたままの出馬には当然異論もあり、今後その点をどう国民らに理解してもらうのか、そこは押さえておかねばならない部分だろう。

 それにしても馬淵氏は、原発担当首相補佐官だったころは、マスコミへの露出を抑えていたようで、どんな仕事をしているのかよく分からなかった。せっかくの働きぶりが、地元である奈良県民に十分に伝えられなかったのは、もったいない話ではなかったか。

 だが、そのポストをおりてからというもの、マスコミに露出するための動きは八面六臂(ろっぴ)というか、タフネスというか実にめざましいものがあった。精力的に中央の各種媒体に登場し、消費税増税や大連立構想には慎重な姿勢を見せ、野田氏らとの違いを際立たせようとしていた。

 しかしながら、小沢一郎元代表の党員資格停止処分の見直し問題では、テレビの番組で「新たな事実によって見直すことは一般論としてはあってもよい」などと発言し、小沢氏寄りともみられる姿勢を見せた。

 県民の1人として、最後まで“一匹狼(おおかみ)”的に、わが道を進んで、この閉塞(へいそく)した政治状況、社会情勢の打開のために力を注いでほしかったのだが、実力者小沢氏の前ではそうもいかないようだ。

 「それが現実の政治なのだ」と言われれば、そうなのだろうが、自民党による長年の派閥政治などに嫌気がさしていた国民が選択した民主党政権が、同じようなことを繰り返していていいのだろうか。小沢氏と距離を置いていた前原氏までが「実力者もうで」とは…。

 “駆け込み”乗車は危険で、マナー違反。今回の代表戦は論戦の時間は短く、とても実りのある選挙戦になるとは思えない。国の行方を左右する重大な選挙が、こんなやり方で進められるのは何とも危うく、心もとない。

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