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金曜時評

指導力発揮はいつ - 編集委員 辻 恵介

 「いきなり」というのが、世の中では流行になっているのだろうか。東日本大震災直後、被災状況の全体像を十分把握できていない段階で、福島原発を視察した菅首相。それに続く、無計画とも言われた東京電力による「計画停電」。そして、菅首相による中部電力浜岡原発の停止要請…。

全部が全部、場当たり的な思いつきの産物であったとは思わないが、十分な事前の調整、いわゆる根回しがないままという点が共通しているのではないか。おかげで現場は混乱し、関係者は何が何だかよく分からないまま、事態の展開に振り回された、といった構図が垣間見られる。

 県内においては、県議会の最大会派である自民党県議団(総勢21人)の3派分裂問題に対する奥野信亮会長の対応が、これによく似ている。18日に同党県連顧問や3会派の代表者を呼んで個別懇談し、県議団の「一本化」に向けて協力要請しようとしたが、「奮闘努力のかいもなく」調整工作は失敗に終わってしまった。

 そもそも改選後初の臨時県議会の開会日という、関係者が忙しい日になぜ設定したのか、疑問視する声は事前に聞かれていたが、案の定というか「想定範囲内」の結果になってしまった。

 懇談が呼び掛けられた県議は、元県連会長で顧問の出口武男氏(改選前の県議会議長)、自民党会派「自民党」(13人)の米田忠則氏、同「改革」(5人)の荻田義雄氏(県連総務会長)、同「未来」(3人)の中村昭氏の4人。しかし、肝心のベテラン2氏(出口、米田氏)は公務などで欠席し、上田悟氏(県連幹事長代理)が米田氏の代理で出席したものの、ほとんど進展はなかった。

 今回の呼び掛けの通知が「いきなりファクス」であった点は、これまで関係者へのアプローチがうまくいかず、「一方的に来てほしいという形で強行突破を図るしかない」との考えからとするが、昨年、県連役員人事を決めた時のように、ここでも奥野会長の“独善的”との声もある手法が展開された。

 これまで統一に向けた調整は、奥山博康幹事長らが水面下で働き掛けてきたものの大きな進展もなく、県議選後1カ月以上が経過して、ようやく奥野会長が重い腰を上げたと見られている。

 それにしても、そのタイミングの悪さには関係者ならずとも、びっくりさせられる。会期最終日の20日は役員改選があり、それを控えてみんなピリピリしている時に、心静かに話などできるはずがないではないか。

 一本化への「アタック・チャンス」は、そう何回もあるものではない。限られた時間の中で、自らまめに動き、汗をかいて回ることが、今大切なことではないか。大震災後、国民は指導力のある人を渇望している。会長としての指導力を発揮できるかどうか、奥野会長の次の一手やいかに。

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