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金属工芸品の行灯開発 - 三郷・カキモト

2010年11月18日 奈良新聞

自社で培った加工技術を駆使して製作した金属工芸品の行灯=三郷町立野北2丁目のカキモト

 産業機械部品を手がける三郷町の金属加工メーカーが、高精度な加工技術を生かして金属工芸品の分野を開発、百貨店の贈答品としてヒットさせている。歴史都市の情景をレーザーで精緻(ち)に切り出した「行灯(あんどん)」は売れ筋の商品となり、こだわりの技術とデザインが相乗効果を生み、景気低迷で伸び悩む主力事業を支えている。

 製造元は工作機械や自動車部品の製造会社カキモト(垣本昌孝社長)。明治創業の老舗でレーザー加工や板金、溶接を得意とし、大手産業機械メーカーを取引先に持つ。

 だが、一昨年秋のリーマンショックで受注が激減。一時は生産休止の状態に陥った。現在も主力事業の売り上げは従来の5割程度にとどまる。

 回復を図るため自社のものづくり技術を活用できる新事業として、百貨店で人気の金属工芸品に着目。「奈良らしい製品を造ろう」と女性を交えたデザインチームを社内に立上げ、一昨年冬から製造を始めた。

 工程は金属をレーザーで切り出した後、職人が曲げ加工や溶接、塗装などを行い、和紙を貼って仕上げる。レーザー加工は1ミリ以下の精度で試行錯誤を繰り返し、2年がかりで完成させた。

 垣本社長は「熟練の技の詰まった工芸品で、現在の生産量は一日5台程度が限界」と語る。

 大きさは開口部が一辺10~20センチ、高さは10~30センチ。外枠は奈良の歴史的町並みや正倉院の宝物、寺や仏像をヒントに描く。付属の電球を灯すとほのかな明りが和紙からこぼれ幻想的な風情を醸し出す。

 昨年12月、兵庫県内の百貨店の依頼で発売しところ、50代以上の女性に好評を博し手ごたえをつかんだ。その後、大阪を中心に4つの百貨店に販路を拡大。今では毎月約30台を販売し、関連の置物やキーホルダーを合わせると売上高の約15%を占める。

 行灯は「華倭里(かわり)」のブランド名で販売。デザインは風情ある奈良などの地方都市の景観を描いた「情景」をはじめ、モダンな物語風の「ポピュラー」や名前などを刻む「メモリアル」の3シリーズ。

 1台1万500円からでサイズはSS~L。行灯本体の色は黒やブロンズなど6色、和紙は12色。別売りで傘付スタンドやLEDライトなどもある。

 同社金属工芸部リーダーの垣本麻希さんは「あきらめずに自社の強みを生かせばどんな逆境でも乗り越えられる。上質な奈良の工芸品として発信していきたい」と話している。

 問い合わせはカキモト、電話0745(72)2240。

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