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金曜時評

体制建て直し急務 - 編集委員 辻 恵介

 猛暑の夏を経て秋の風情を楽しむにはいい季節と思っていたら、26日には木枯らし1号が吹き荒れ、家路を急ぐ人々は震え上がっていた。昨年より7日早いとのことだったが、最近は季節のつなぎのような緩衝部分がなく、いきなり季節が変わってしまう状態が増えたように感じる。

政権交代という「季節の激変」から1年が過ぎて久しい。野党から与党へと活動するフィールドが変わり、民主党関係者も慣れないことが多く大変だったろうが、国民生活や世界情勢は悠長に待っていてはくれない。与党には「結果を出すこと」が求められている。

 それにしても、小沢氏らの「政治とカネ」をめぐる説明責任がいまだ果たされていないことや、尖閣問題への弱腰の対応などに対する国民の批判にはいまだ根強いものがある。

 そんな折、またしても批判を浴びる事態が起きている。一つは鳩山前首相が、6月の首相退任時に次の選挙には出ないと言っていたはずなのに、いとも簡単に前言をひるがえしたことだ。それも外遊中に同行記者団に話すという、大物政治家にありがちな発表の仕方だった。一国の首相まで経験した人物ではあるが、この人の発想の貧困さには言葉も出ない。前言撤回が、その人個人だけでなく、周りの民主党関係者への信頼をも損ねかねないということにまで考えが及ばないようだ。

 政治への不信感を増幅させ、関係者を混乱させて「我が道を行く」人。「出処進退はご自身の判断」で片付けていいものなのか。

 もう一つは企業・団体からの献金問題。昨年から自粛していた企業・団体献金の受け入れを再開する方針を決めたという。当然ながら、衆院選マニュフェスト(政権公約)の全面禁止方針と矛盾するとの批判が党内からも起きている。できないくらいなら、最初から公約になどしなければいいのに、事前の「仕分け」が不十分だったようだ。

 こうした迷走がちな与党に対して、野党自民党も全く元気がない。マスコミへの露出度が極端に減っている点は気の毒ではあるが、ならばもっと目立つような斬新なことをしなければならないのに、精彩を欠いている。

 県内に目を転じてみよう。民主党県連では滝実氏の代表“続投”が事実上決まり、30日の県連臨時大会で承認される運びという。来春の統一地方選へ向けて、新人候補も擁立し準備は着々。それに対して、自民党の動きは極めて鈍く、心もとない。

 同党は県議会では定数44のうち24議席を占めるものの、3会派に分裂という複雑な状況下にある。県連会長のポストも衆院議員の田野瀬良太郎氏が辞任した後、空席のままだ。1日も早く来年の“春の陣”に向けて陣容を整えるべきなのに、何とも歩みがのろい。

 選挙では力と力、組織と組織の激しい攻防になる。戦う陣容を早く整え、機先を制すことが勝利への道につながる。速やかな体制の建て直しが、今こそ求められている。

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