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金曜時評

新時代担う議会を - 編集委員 松井 重宏

 来年4月の統一地方選まで、あと半年と迫った。県内で実施が予定されているのは知事選と県議選、それに2市1町2村の首長選と5市11町7村の議員選。以前に比べると首長選の数が減ったが、議員の改選は県内39市町村のうち約6割を占めており、同選挙が4年に1度、地方自治の方向性を決める重要な機会になることに変わりはない。また候補者選びや調整が本格化する時期を迎えて、有権者にとって必要十分な選択肢が出そろうのか、各党、各陣営の動きから目が離せない。

 そうした中で今、全国的に関心を集めているのが地方議会のあり方や首長と議会の関係を問い直そうとする動き。

 一つは大阪府。橋下知事が自ら代表を務める地域政党「大阪維新の会」を率いて統一地方選に打って出ようとしている。議会勢力が知事を担ぐ従来のスタイルを逆転させ、知事が議員を擁立、政策推進の環境を整えようとする強引な手法だが、今後さまざまな形で近隣府県にも影響が広がりそうだ。

 また名古屋市では河村市長の支援団体が政策で対立する市議会のリコールを請求。鹿児島県阿久根市では、市民団体が議会軽視の姿勢を崩さない竹原市長のリコールを求め、署名活動を進めている。

 橋下知事の強い発言力、剛腕ぶりは突出しているが、首長と議会の対立、市民不在の迷走ぶりなど、名古屋市や阿久根市と似た状況は県内にもある。功名心や独善による暴走、しがらみや利権にまみれた停滞。地方行政を推進する車の両輪に例えられる首長と議会が野放図に、自己主張し合うだけの力比べは有権者にとって迷惑1000万。双方がなれ合っても良い政治は実現しないが、相互理解の努力は欠かせない。リコール運動にまで発展しなくても、各地で統一地方選が有権者の審判の場となることが期待される。

 特に複数の議員で構成する議会は、1人を選出する首長とは違い、より幅広く有権者の声を代弁する責任を担うと同時に、政策集団としての政党会派の役割も増している。国の政権交代が実現して初めて行われる統一地方選で、既存政党や新たな勢力が、それぞれ十分な数の候補者を立てて有権者に政策を問う取り組みを強く求めたい。

 口利きに対する厳しい目、また定数削減や報酬カットで「議員のうまみ」が大幅に減った今だからこそ、本当に地域を良くしたいと望む人材を発掘できる時代になった。県議選では各党ともまだ現職の公認を進めている段階だが、民主党は新人5人の擁立を発表、積極的な姿勢を示している。最大勢力の自民党も会派分裂の解消から始める必要がある。

 閣議決定された日程は、都道府県と政令指定都市の首長、議員選挙の投票日が4月10日、政令指定都市以外の市、特別区、町村の首長と議員の投票日が同24日。開会中の臨時国会で同選挙期日が確定する見込みで、各自治体では前哨戦が本格的にスタートする。

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