2010年8月21日 奈良新聞
日本一広い村、十津川村が誕生から120年を迎え、きのう式典を開催。6村が合併する契機となった大水害の慰霊碑に参加者が祈りを捧げた。
国内最大規模ともいわれる土砂崩れが同地域を襲ったのは明治22年8月。深いV字谷が埋まり風景が一変するとともに、住民の暮らしも一変した。
168人が犠牲になり、家屋の流出など生活基盤を失った約2500人が北海道移住を決意、現在の新十津川町を建設する一方、地域に残った人々は合併で新たな村づくりに取り組んできた。
ただ、そんな十津川村の苦難も県北部で語られる機会は決して多くない。今は豊かな自然と温泉で知られる同村の歴史に、もっと関心を持ちたい。
そして山間地の災害対策も忘れてはいけない。十津川の大水害は貴重な教訓だが、伊勢湾台風を機に計画された大滝ダムはいまだ完成せず、都市部重視の政治が今、各地で波紋を広げている。
神武天皇の時代にさかのぼるという十津川郷の歴史から見れば、121年前の水害も最近の出来事なのだろうか。それでも悲劇の記憶を次代に語り継ぐ努力は欠かせない。(松)
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