2010年8月16日 奈良新聞
100歳以上の高齢者の生死が確認できない奇怪な事件が全国で波紋を呼んでいる。大阪市などは数が多くてびっくりしたが、本県でも奈良市に1人いた。
30年前に家出をして実際の居所が分からない。生死も分からない。家族によって住民票の抹消手続きが取られるようだが、命の重みが紙1枚にも及ばない。
大阪のマンション2児死体遺棄事件では、外泊を続ける母親に置き去りにされ、子どもたちの餓死した状況が分かってきた。3月に発覚した桜井の5歳児餓死事件の記憶と重なり、やりきれない。
命が粗末に扱われている実態といえば、警察庁の自殺者数統計がある。7月現在、全国で1万8821人が亡くなった。少し減ったが、年間3万人台になるペース。
自殺に至る要因は病気や経済的問題が大半。50~60代が一番多い。年齢を重ねるたびに命の重さ、素晴らしさを体得しているはずなのに、はかない選択は悲しい。
きのうは終戦記念の日。戦争体験を記憶する営みは年々困難になっているが、命を見つめ慈しむことは、毎日の暮らしの中でできる。そのことを改めて誓った。(水)
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