2010年8月15日 奈良新聞
異常気象の影響か、洪水の犠牲者が中国で1000人、パキスタンでは2000人を超えたという。そんな死者を数字で報じる大惨事を聞くと胸が詰まる。
そこにはどれほどの無念と悲しみがあるのか。名前も顔も知らない人たちだが、一人ひとりに人生があり、ともに暮らしてきた家族や仲間がいる。
それが天災ではなく人災ならなおさら。計りしれないほどの思いが渦巻いているのに違いない。ただ一部地域で頻発するテロ行為の被害などは、犠牲者の数だけがニュースになる現状に驚く。
もちろん失われた一人ひとりの命に思いを寄せ、悲嘆にくれることなどできないが、数字が伝える事実の重さに鈍感にならない努力は欠かせない。
先の大戦による日本の戦死者は230万人、民間人の死者は80万人だという。世界中で犠牲になった人は十数倍に達する。そんな気が遠くなりそうな数字と向き合う日が、今年も巡ってきた。
奈良市では今夕、県出身の英霊約3万柱を供養して高円山に大文字送り火がともされ、二度と戦争を起こさない誓いを込めて本紙連載は語り継ぐ記憶を掘り起こしていく。(松)
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